by Ryota Takahashi | May 5, 2021 | AUTOMOTIVE / 自動車業界, IAM NEW
SUV
ラグジュアリーSUVのスタートは1997年でした。アメリカのマーケットでこの年リンカーンとメルセデス・ベンツが、それぞれナビゲーターとMクラスをローンチしたのが始まりです。するとこれが大当たり、キャデラックがエスカレードをBMWがX5で追いかけます。
さらにヒートアップしたのは2002年。ポルシェ・カイエン、フォルクスワーゲン・トゥアレグ、ボルボXC90といったモデルが次々と登場。ポルシェなんかそうですが、背の高いクルマに縁のないブランドが競って名乗りを挙げたんですからすごいことです。
そういった流れを鑑みると、今日ランボルギーニ・ウルス、マセラティ・レヴァンテなんてのがラインナップするのも不思議ではありません。世界の潮流は確実にSUV一辺倒ですから。でも、レヴァンテが2016年、ウルスが2017年と少々出遅れ感はありますね。きっと彼らも相当手こずったに違いありません。重心は高いし、ヨンクだし、ドアは4つでリアゲートまであります。
とはいえ、この2台の反響は大きく、販売面で大成功をおさめました。「スーパーカーのSUVなんてどうなの?」という危惧は無縁です。もちろん、それに対してアレルギー反応を持つ保守王道もいらっしゃるでしょう。ブランドのあるべき姿を考えると利益追求に走ったSUV製作は邪道ではないかと。
ただ、ずいぶん前に雑誌の記事でポルシェAGのトップがこんなことを言っていました。「カイエンの成功がなければ、パナメーラをつくれなかったし、今日のような飛躍はなかった」と。自動車は趣味嗜好が強いですが企業ですからね。当然といえば当然。
ということで、ランボルギーニとマセラティの未来は明るいかと。SUVのラインナップが増えたりして。いずれにせよ、期待は膨らみます……。
記事:九島辰也
by Ryota Takahashi | Apr 28, 2021 | AUTOMOTIVE / 自動車業界, IAM NEW
Miura
ランボルギーニからこんなニュースリリースが届きました。1971年3月のジュネーブモーターショーに出品されたミウラSVから今年で50年の月日が経ったと……。
ところで皆さんは、ランボルギーニミウラと言うクルマを知っていますか? 歴史に名を残すスーパーカーです。で、その“ミウラ”と言う名前ですが、日本人だとどーしても“三浦”って文字が頭に浮かびますよね。あの高級時計のように。
でも、それは当然ながら間違いで、正解はイタリア人の名前です。その名はフェデリコ・ミウラ。あ、人名と言う意味では同じでした。では、この人はナニモノか? 実は彼、牧場の経営者で、闘牛の生産者です。どうやらランボルギーニの創業者フェルッチオ・ランボルギーニさんの友人だったとか。
では、ランボルギーニさんはなぜ友人の名前をクルマにつけたのか。答えは他のモデルにあります。実はランボルギーニの車名は闘牛の名前が多く使われてきました。イスレロ、ジャルパ、ディアブロ、ムルシエラゴ、レヴェントン、ウラカンそしてアヴェンタドールがそうです。ガヤルドは闘牛飼育家の名前のようですね。
そしてこうした名前が付けられた理由はエンブレムに隠されています。今度じっくり見てください。闘牛の絵が描かれています。なるほど、ブランドのコンセプトが闘牛だったんですね。でも、なぜランボルギーニさんは闘牛を描いたのか。
一説によるとそれはフェラーリに対抗していたと聞きます。フェラーリといえば別名“跳ね馬”。つまり、馬に対する牛と言うことです。確かに、相手が馬なら牛にしたくなる気持ちはわかります。フェラーリ創業が1947年、ランボルギーニは1962年ですから、後発としてはマーケティングの面からもいい戦略かもしれません。ポジションがわかりやすいですから。
まぁ、ランボルギーニさんがフェラーリに対して色々行動を起こしていたことはここでは省きますが、対抗心が会ったのは明確でしょう。もしかしたらそれがモチベーションとなり、今日までブランドが継続しているのかもしれません。いずれにせよ、イタリアの自動車史は調べれば調べるほど興味深い話が尽きませんね。
記事:九島辰也
by Ryota Takahashi | Apr 14, 2021 | AUTOMOTIVE / 自動車業界, IAM NEW
1000 Miglia
クルマが大好きな人たちの国イタリアには伝統的なカーイベントがたくさんあります。コモ湖で行われるコンクール・デレガンスもそうですし、プレシアからローマに行ってグルっと回って戻ってくるミッレミリアもそうです。シチリア島で行われるタルガフローリオも。これらは日本でもクルマ好きの人の間では有名です。多くの方がいつか参加してみたいと思っていらっしゃることでしょう。
個人的に一番興味あるのはミッレミリアです。ミッレミリアとは“千”を表すイタリア語の“ミッレ”とマイルの“ミリア”をつなげたもの。要するに“1000マイル”走るイベントってことです。わかりやすい!
ミッレミリアはかつて公道を使ったスピードレースでした。1950年頃はフェラーリやポルシェ、ジャガーも参戦していたほどです。ですが、1957年に観客を巻き込む大事故が発生し中止に。その後は20年の時を経てクラシックカーレースとして蘇りました。ただ、クラシックカーだから安全ってことはありません。そもそもレース好きの方々の集まりですから、かなり飛ばすようで。動画を観てもそうですが、参加した友人からも相当な迫力だと聞いています。4日間かけて1000マイル、つまり1600キロ走るんですから大変。途中コースを間違えたり、クルマの調子が悪くなったら夕方までにその日のゴールに着けません。夜中にゴールしてほとんど寝る間もなく翌朝スタートなんてケースも少なくないとか。
そこまでハードではありませんが、日本にもクラシックカーの愛好家を集めた公道ラリーは行われています。しかもかなりの数。ただ、スピードを競わずにクルマを使ったゲームで勝負するのがメインとなります。決められた距離を決められた秒数で走るんです。例えば30mを25秒で、というように。それを一日に何十本もあるのですが、100分の一秒単位で争います。なので、皆さんこの上なく真剣。けっこう熱くなるんですよね。こういうの。僕も2007年からこうしたラリーイベントに参加しています。クラシックカーに乗って。
イタリア発祥のこうしたイベントは実に楽しいですよね。皆さんもぜひどうぞご参加くださいませ。
記事:九島辰也
by Ryota Takahashi | Apr 7, 2021 | AUTOMOTIVE / 自動車業界, IAM NEW
MASERATI
イタリアにはわかっているようでわかっていないカーブランドがいくつもあります。パガーニやブガッティなんてのがそんなところでしょうかね。じつはマセラティもそうかと。今日でこそ、クアトロポルテやギブリ、さらにはSUVのレヴァンテが街を賑わせていますが、そもそもは超レアブランド。戦前はレーシングカーメーカーでしたからフィアットやアルファロメオのような親しみはありません。当時のファンはヨーロッパの王族や公爵、伯爵、それとグランプリレースに熱狂した若者ってところでしょう。
ところで、クアトロポルテって意味知ってますか? クアトロ=4、ポルテ=ドア、つまり4ドアってことです。なんと安易なネーミングなんでしょうか。ただ、彼らがレーシングカーブランドを起点としていることから2ドアをデフォルトと鑑みれば、それも理解できるかと。4ドアは特別だったんですね。当時は。
そんなマセラティが昨年9月久しぶりにスーパーカーを発表しました。MC20です。2004年にリリースされたMC12の後継車って感じで。MC12はFIA GT選手権で2010年まで活躍したモデルです。
新型はエアロダイナミクスを取り入れた低くワイドなボディと前ヒンジで跳ね上げるドアが目に飛び込みますが、やはりエンジンがポイント。100%マセラティオリジナルの3リッターV6ツインターボが搭載されます。最高出力は630馬力、最大トルクは730Nmを発揮。最高速度は325km/h、0-100km/h加速は2.9秒となります。おそろしー!
「100%マセラティオリジナル」がトピックスなのは、現状のV6はフェラーリ製だから。マセラティファンにとっては自社製に戻った方が価値があるようです。まぁ、かつてはグランプリレースで戦ったコンペティター同士ですからね。ごもっとも。
ちなみにMC20の発表会は本拠地のモデナとニューヨーク、それと東京で同時開催されました。日本時間はなんと午前3時!! 関係者の皆さま、お疲れ様でした!
記事:九島辰也
by Ryota Takahashi | Mar 31, 2021 | AUTOMOTIVE / 自動車業界, IAM NEW
RIVA
イタリアにはRIVAという名前のボードビルダーがあります。“リーバ”なのか“リーヴァ”なのか、日本語表記はわかりませんけど。どっちでもいいですが、イタリアの家具ブランドに“リーヴァ”というのがあるから紛らわしい。関係あるのかないのかは、知らんけど。
その“リーヴァ”を初めて知ったのは97年頃だったと思います。レンジローバーのプレゼンテーションで、デザインの責任者ドン・ワイアット氏が来日してこう言いました。「コックピットのデザインはリーヴァからインスパイアされました」と。
当時の私は、この話を聞いてチンプンカンプン。「リーヴァって何よ?」って具合です。でもって負けず嫌いの性格なので、めちゃくちゃ調べました。コモ湖の名前を知ったのもその時です。
それから10年経ったある日、フェラーリとリーヴァのコラボパーティに呼ばれ、そこでスピーチをして欲しいと頼まれました。そこで、すかさずレンジローバーの話をしたのを覚えています。すると、後日“パーフェクトボート ”というボード専門誌から連絡があり、LYUCOMPANY(*Riva Yachtの日本正規ディーラー)の方が九島さんにぜひボードに乗ってもらいたい!と言ってます、と伝えられました。聞くと、コラボパーティの私の話を後ろの方で聞いていたとか。
ということで、それから数日後三浦半島のシーボニアでリーヴァに初乗船しました。もちろん、操船も。その間にボート免許を取ってましたから。今では日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員もつとめさせていただいております。
それにしてもこういうのって縁ですよね。どこで誰が聞いているかわかりません。発信するって大切ですね。とはいえ、口は災のもとともいいますから、世の中難しいです。
記事:九島辰也
by Ryota Takahashi | Mar 24, 2021 | AUTOMOTIVE / 自動車業界, IAM NEW
FIAT 500
フィアット500というクルマがあります。500はイタリア語で“チンクエチェント”。なのでクルマ好き同士では略して“チンク”なんて呼ぶのがフツーです。
このクルマはイタリア人にとって特別な存在だそうです。かなり前のことですが、雑誌LEONのカバーモデルとして有名なジローラモ氏とクルマ談義をした時、そんなことを言っていました。「物心ついた頃に家に古びたチンクがあり、それをレストアしながら運転技術を磨くのがイタリア男子の通る道」だとか。この場合1950年代とか60年代の初代モデルですが、生活に根付いているのが分かります。
そんな特別な存在ということだからでしょう。チンクはメゾンブランドのグッチや、最高級ボートメーカーのリーヴァとコラボしたモデルを販売してきました。通常、この手のブランドとコラボするのであれば、イタリアにはフェラーリもありますし、ランボルギーニもあります。マセラティもそうですよね。アルファロメオだっていいと思います。でもなぜか大衆車のフィアット500。そこはやはり日本人の我々にはわからない“ナニか”があるのでしょうね。気になります。
そんなチンクをベースにパワーアップしたモデルがあります。アバルト595/695シリーズです。レースで勝つことを目的に生まれたこのブランドがつくるモデルはまさにレーシーな仕上がりとなります。とにかく速い! で、それをベースにしたコラボモデルもいくつか存在します。しかも、おもしろいことにコラボ相手はフェラーリやマセラティ。同じFCAグループとはいえ、「クルマブランド×クルマブランド」ってなんか不思議ですよね。なんでもありか?
話をフィアット500に戻すと、イタリア国内には驚くほどたくさん走っています。個人所有もそうですが、企業が自社ブランドの広告塔として使用したりしてます。そんなクルマを見かけるとなんか嬉しくなります。「チンクは愛されているんだなぁ」と。あ、言い忘れましたが、私もチンクユーザーでございます。
記事:九島辰也