Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

最新グルメ情報25ティラミス発祥の地「レ・ベッケリエ」の現在地点

最新グルメ情報25ティラミス発祥の地「レ・ベッケリエ」の現在地点

ティラミス発祥の地「レ・ベッケリエ」の現在地点

1875年に創業した北イタリア・トレヴィーゾの老舗レストラン「レ・ベッケリエ」といえばティラミス発祥の地として今や世界中に広く知れ渡っている。2007年に取材で初めてこの店を訪れた時は、当時の店主カルロ・カンペオールが直にティラミス誕生秘話を聞かせてくれたことがあった。それはカルロの祖母アントニエッタがよく作っていたドルチェであり、カルロ自身も幼い頃からよく口にしていた家庭の味。「わたしを引き上げて=元気付けて」という意味をこめ、ティラミスと命名したのもやはりアントニエッタだった。

その時「ベッケリエ」で初めて食べたアントニエッタ伝来の「ティラミス」はエスプレッソを効かせた甘さ控えめのほろ苦い大人の味。さらに自家製のトウモロコシのビスコッティはマスカルポーネと一緒に食べるのだが、これまた一口食べ始めるととまらなくなる後引く味だった。カルロは1970年代にイタリア料理界を大きく変えたヌーヴェルキュイジーヌ・ブームの頃、伝統料理の大切を再認識したという。その激しい嵐のようなムーブメントはトレヴィーゾのような地方都市にも伝わり、多くの友人たちはカルロに向かって「これからはヌーヴェルキュイジーヌの時代だよ」といったというが、伝統料理主義者のカルロは自分のスタイルを決して曲げなかった。「それは私たち家族に代々伝わるDNAのようなものだから、そう簡単に変えるわけにはいかない」。やがてヌーヴェルキュイジーヌの波はあっという間に去り、気がつくと周辺のレストランで残っていたのは「ベッケリーエ」だけだったそうだ。
しかし「レ・ベッケリエ」にも時代の波が訪れ、カルロはもう店の経営には携わっていない。トレヴィーゾ市内で「プロセッケリア Proseccheria」「アクアサルサ Acuqasalsa」などを経営する敏腕経営者にその経営を譲り、店の内装も大きく様変わりした。新生「レ・ベッケリエ」の新しい料理はこんなメニュー構成だった。

ひとくちサイズのアミューズはメニュー・デグスタツィオーネの前奏曲。これから始まるコースの流れを予感させるものであり、現代的思考のプレゼンテーションからは、昔の「レ・ベッケリエ」の料理とは異なっていることがよくわかった。

ヴェネト地方でよく食べられる郷土料理のひとつバッカラ・マンテカート。立ち飲み居酒屋「バーカロ」でのつまみの定番でもあるがこれは非常に滑らかかつクリミーに仕上げたものでバッカラの皮のチップス、さやいんげんとあわせた軽い前菜。アチェートの酸味が料理全体を引き締める。

秋の代表的味覚、ポルチーニを生とソテー両方で味あわせてくれる料理。プレゼンテーションも美しく、なによりポルチーニの鮮度がいい。薫香をつけたナスのクリームも香ばしくてポルチーニのソテーによくあう。パルミジャーノ・チップスも添えられており、一皿の中に異なる食感の料理を組み合わせている。

ポー川流域でよく食べられているウナギだが、ここでは柔らかく低温調理で火を入れ、甘くて香ばしいソースとの相性がいい。アクセントを加えるのはカリフラワーのソースと生のカリフワラー。

メニューを見るとごくごくシンプルだが、これは3種類の黄色いポモドリーニを使ったパスタ。スパゲッティは全粒粉を使ってあり、ヴェネト地方の伝統パスタ「ビーゴリ」に近い食感。爽やかな酸味が心地よいトマトソースにトッピングは鱒の卵。

塩釜焼きした豪快な料理はカメリエーラが一人ずつ切り分けてくれた。火入れは申し分なく、味付けは塩のみ。熟成香もちょうどよい。

新生「レ・ベッケリエ」では料理の構成は変わってもティラミスのレシピは変わらない。サヴォイアルディをエスプレッソに浸し、卵黄、砂糖、マスカルポーネのクリームを層にして重ね最後にカカオパウダーをトッピング。しっとりとした食感もちょうどよく、誰もが知るあのクラシックなティラミスの味。かつてアントニエッタが毎日この店の厨房で作っていたであろうティラミスを、いまこうして口にできるのは感無量である。ちなみに新生「レ・ベッケリエ」としての裏ティラミスとして「ティラミス・ズバリアータ=間違ったティラミス」がある。これはマスカルポーネを軽くスプーマにし、液体窒素で凍らせたコーヒーシャーベットを底に忍ばせたもの。100年前には無かったテクニックを駆使した現代的解釈のティラミスだが、これも実に素晴らしかったことは特記しておきたい。

Le Beccherie レ・ベッケリエ
www.lebeccherie.it
Piazza Ancilotto,9 Treviso
Tel:0422-540871

 

記事:池田匡克

 

クルマ通信22マセラティのスーパースポーツ“MC20”

クルマ通信22マセラティのスーパースポーツ“MC20”

マセラティのスーパースポーツ“MC20”

 今回は以前このコラムでご紹介したマセラティのスーパースポーツ“MC20”が、初めてパフォーマンスを人前でお披露目したという話です。前回はアンベール(ベールを脱いでお披露目されたという意味)だけでしたからエンジン音は聞けなかったというわけですね。つまり、これが正真正銘のお披露目かと。
 場所は英国。ロンドンの南にあるウェストサセックス州のグッドウッドです。そこで去る7月8日から11日までの4日間行われた “グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード”でMC20のエンジンに火が入りました。
 クルマ好きなら誰もが知るこのイベントは、第11代リッチモンド公爵、通称マーチ卿主宰で行われます。「動くモーターショー」をテーマにするここでは、各メーカーの歴史的なモデルから最新のコンセプトカーが飾られる他、英国伝統のヒルクライムレースが行われます。「動く……」というのは、このレースがあるからですね。ヒルクライムレースは一台一台スタートしてその時間を測るタイムアタックレースです。
 今年は第27回を数えるそうですが、当然日本から観に行けることはできませんでした。でも、過去何度か取材したこともあり、写真やニュースから迫力や臨場感が伝わります。耳を澄ませばエンジンサウンドが聞こえそう。とはいえ、一刻も早くコロナ禍以前のように足を運べることを期待したいです。

 MC20がここで注目されたのは当たり前です。最高速度325km/hを誇るブランド初のミッドシップ2シータースーパースポーツが初めて人前で走ったのですから。ブルーのボディとブラックに塗られたルーフ&ホイールの姿が緑の中でバエたことでしょう。このクルマに憧れたカーガイは多いのでは。
 それにしてもこんなイベントができるのは羨ましい限り。なんたってマーチ卿の持っている敷地内ですから自由です。イタリアにもあるのかもしれませんが、耳にしませんね。ミッレミリアでエキシビジョン的にスーパーカーが走ることはありますけど。
 マーチ卿には過去このイベントでお話しさせていただいたことがありますが、絵に描いたような英国紳士です。初めてお見かけしたのは、確かイタリアのコモ湖。その湖畔で開催される“コンクール・デレガンス」にも毎年いらっしゃるようです。クルマ好きはみんな繋がっているんですよね。FORZA MACCHINA !!です。

 


記事:九島辰也

最新グルメ情報24料理界のトップと自動車界のトップのコラボ フェラーリのリストランテ新生「カヴァッリーノ」

最新グルメ情報24料理界のトップと自動車界のトップのコラボ フェラーリのリストランテ新生「カヴァッリーノ」

料理界のトップと自動車界のトップのコラボ フェラーリのリストランテ新生「カヴァッリーノ」

日本人を魅了するキラーコンテンツの宝庫であるイタリア。中でも「料理」と「車」はどちらにも巨星と称される抜きん出た存在がいる。それは、現代イタリア料理で世界一の称号も獲得した「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラであり、創業以来世界中のファンをその本拠地マラネッロに引きつけてやまない「フェラーリ」だ。その二者がタッグを組み、このほど、マラネッロの本社工場に隣接するリストランテ「カヴァッリーノ」を完全リニューアル。同店は当初従業員の食堂として始まったが、1950年にレストランに生まれ変わり、以来、エンツォ・フェラーリが友人や客人をもてなした、フェラーリファンにとっては聖地の一つ。それが、“ロッソ・フェラーリ”と“カヴァッリーノ・ランパンテ”をキーワードに内装を一新し、料理監修は同じモデナ出身のボットゥーラが務めることになったのだ。

テーマは、「これまでの栄光の道のりを大切に、しかし、過去に拘泥するノスタルジーに陥ることなく、現在を見つめ、未来を見据える」。インテリアを担当したのは、パリを拠点に活動する建築家・デザイナーのインディア・マダヴィ。彼女のデザインの基本コンセプトである多色、多言語を軸に、パダナ平原の田園に佇む昔ながらの館の雰囲気を残しつつも、鮮やかさ、アウトラインの強さが、この「カヴァッリーノ」に新しい力をもたらしている。フェラーリの“跳ね馬”が無数のバターンとして随所に現れ、それぞれの時代をグラフィカルに物語る斬新なデザインのポスターが壁を彩り、メタリックな艶を放つ赤いフレームの客席椅子が目を引く。藁編みの座面が、田園の雰囲気を醸し出し、テラス席にはのどかな空気が漂う。

ボットゥーラは、共にモデナを故郷とするこの“同志”のために、モデナ伝統を尊重しつつ、現代イタリア料理が到達した技術、エッセンスを取り入れた料理メニューを考案。中には、エンツォ・フェラーリの妻リナ・ナルディの得意料理だった「マッケロンチーニ・イン・サルサ・ローザ」もあり、ボットゥーラ解釈で提供する予定だという。また、クラシックを現代的に再構築した例として、「ロッシーニ風フィレ」(またはロッシーニ風トゥルヌド、牛フィレ、フォアグラ、黒トリュフを重ねた料理)に着想を得た「ロッシーニ風コテキーノ」を挙げている。コテキーノは言わずと知れたモデナやその近郊の伝統食であり、大晦日のチェノーネには欠かせないメニューだが、豚足にひき肉などを詰め込んだ非常にヘビーな味わいで、現代の味覚にはあまり合わなくなってきているのも事実。それを真空調理でより軽く仕立て、モデナのアマレーナをソースとして、甘酸っぱいアクセントを添えた。また、マストな前菜と言われる生ハムを添えたニョッコ・フリット、ボットゥーラのアイコニックな一品として知られるパルミジャーノ・クリームたっぷりのトルテッリーニもラインナップされている。

新生「カヴァッリーノ」の船出に際してボットゥーラはこう述べる。「我々が厨房で料理する、フェラーリが一台を組み上げる、それらは、全く同じことだと思う。それは、ノスタルジーに浸ることなく厳しい目で過去の良きものを選び取り、未来に繋げることなのだ」。パンデミックの影響でイタリアの飲食業界は大きな打撃を受けたが、その苦しい時間に、今までの問題点を見つめ、未来のために新しいプロジェクトを立ち上げる動きも少なからずあった。この「カヴァッリーノ」も、博物館の添え物的なレストランではなく、自らの存在意義と革新性を追求する使命を背負っての新しいスタートを切った。暗く澱んだ厄災の時代から抜け出した“跳ね馬”が、どれほどのスピードで飲食業界を駆け抜けるのか楽しみである。

Ristorante Cavallino
https://www.ferrari.com/it-IT/ristorante-cavallino

 

記事:池田愛美

クルマ通信21マセラティギブリ

クルマ通信21マセラティギブリ

マセラティギブリ

 イタリアの自動車ブランドは伝統を重んじます。フェラーリとランボルギーニ以外は歴史が長いですしね。皆さん100年オーバー。まぁ、イタリア人自体がその傾向が強いからかもしれませんが、よく昔をオマージュしたネーミングやデザインを取り入れたりしています。「このクルマは50年前のレースで活躍した……」といった感じで。
 今回スポットを当てるマセラティギブリもそうです。なんたってギブリって名前はこれで3代目。1960年代に初代を、90年代に同名の2代目を販売しています。過去2モデルは2ドアクーペでしたからずっと同じコンセプトってわけでもなんですがね。不思議です。
 それじゃ伝統ばかりを追い求めているかといえば違います。それと同時に新しいことにもトライしています。このギブリと藤原ヒロシ氏のコラボレーションなんてまさにソレでしょう。ストリートカルチャーの第一人者との組み合わせは新鮮かと。

 ただ、そんなことができるのはちょっとした仕組みがあるからなんです。それはマセラティ自慢の自分の好みにオーダーできるカスタマイズド・プログラム「マセラティ フオリセリエ」の存在。テイラーメイドの洋服のようにカスタムできるこのシステムで、藤原ヒロシ氏の世界を表現しているんです。
 ではこのクルマは日本国内販売オンリーのドメスティックなものかといえば、そうではありません。世界限定175台で、そのうちの40台が日本にあてがわれます。つまり、世界規模のコラボレーションということです。
 特徴はモノトーンで構成されるカラーリングで、ボディカラーだけでなく、ホイールからドアハンドルまで細部に渡ってそれが追求されました。プレミアムレザーとアルカンターラのコンビネーションから出来ているシートもそう。かなり艶っぽく仕上がりっています。個人的にはこれほど黒にこだわりながらシートベルトをダークブルーにしているところにセンスを感じました。そこに差し色するとはかなりの上級テクニックですね。
 なんて感じで、いろいろな展開を見せてくれるマセラティ。今後もこんなモデルが次々出てくるんでしょうね。期待です!

 


記事:九島辰也

最新グルメ情報23史上最年少で3つ星を獲得した「レ・カランドレ」の料理

最新グルメ情報23史上最年少で3つ星を獲得した「レ・カランドレ」の料理

史上最年少で3つ星を獲得した「レ・カランドレ」の料理

北イタリアのパドヴァ郊外、ルバーノにある「レ・カランドレ Le Calandre」は長年リータとエルミニオ・アライモ夫妻が経営していたレストランだった。しかし1994年、当時1つ星だった店をラッファエッレRaffaelleとマッシミリアーノ Massimiloanoという2人の息子に譲り、アライモ Alajmo夫妻は引退する。この時マッシミリアーノはわずか20才。そしてその8年後の2002年には史上最年少でミシュラン3つ星を獲得するとは当時誰が想像しえただろうか?以来「レ・カランドレ」はイタリア屈指の名店として19年連続で3つ星を維持。ちなみにこれは「ダル・ペスカトーレ」の26年連続に次ぐイタリア史上最長記録だ。

マッシミリアーノはデビュー当時から少年のような明るいキャラクターから生まれる斬新な発想とクリエイティビティが際立っていたが、それは45才になった現在も全く変わらない。20代の頃と同様マッシミリアーノが作る料理は楽しくて斬新、しかしその根幹にあるのは確固たるイタリアの味だ。
17年連続で3つ星を維持しているにも関わらず「グラン・メゾン」という言葉が似合わないと感じるのは、店に漂うそのカジュアルな空気ゆえだろう。いまでこそファイン・ダイニングの世界では主流のスタイルとなったミニマルなインテリアとカジュアルな制服、テーブルクロスのないダイニング、というのはイタリアの3つ星では「レ・カランドレ」が史上初めて導入したスタイルだ。「ダル・ペスカトーレ」「エノテカ・ピンキオーリ」「ドン・アルフォンソ」といった殿堂入りに値する名店たちはいずれもフランス志向の「グラン・メゾン」のスタイルだったが、その意味では「レ・カランドレ」以前と以後ではイタリアのファイニン・ダイニング界の流れは大きく変わり、時代はミニマルなスタイルへとシフトしていった、といえるだろう。

「レ・カランドレ」では3つ星レストランには珍しく、コースメニューのカスタマイズが可能だ。「ここはレストランですから、ゲストには自由に料理を楽しんでいただきたい。ですからメニューの皿数や構成を自由に変えることももちろん可能なのです。」とマッシミリアーノ。彼自身が持つ明るいキャラクターとホスピタリティに加え、どんなリクエストにも対応可能な柔軟性と懐の深さ。これこそが「レ・カランドレ」を居心地の良い店にしている最大のエレメントではないかと思う。今回試したのはマッシミリアーノの白紙委任状「カルタ・ビアンカ」だ。

マッシミリアーノが20年以上作り続けている「レ・カランドレ」の代表的料理。原点は2002年当時すでに発表していた「イカスミのカプチーノ」にあるが、これはその究極の進化系だ。ムリーナとはヴェネツィアン・ガラスの代表的手法のひとつで、渦巻き状の文様のこと。マスカルポーネとジャガイモで作った滑らかなピューレの下に温かいイカスミのスープが隠れており、ピューレの上にはムリーナが作り出す万華鏡のごとく、さまざまな色彩が混ざり合って美しい文様を描いている。緑はほうれん草、赤はビーツ、黄緑はプレッツェーモロ、茶色はウニ、黒はイカスミ、そして仕上げのひとしずく、オリーブオイルのダイレクトな旨味。そうしたさまざまな構成要素はひとつひとつ味わうのではなく、大胆にも混ぜて食べてほしいとマッシミリアーはいう。スプーンを入れるのも惜しいような美しい料理なのだが、口に含んでみるとそれはまさにヴェネツィアの味。ウニやイカスミの香りはヴェネツィアのペスケリア市場を思い起こさせる。シグネチャー・ディッシュ、という言葉はまさにこの料理のためにある、と思えてならない。

薄くてぱりぱりのチャルダの中に柔らかくマリネしたヒメジをはさみこみ、バジリコの香りのするズッキーニのスプーマで挟み込んである。花ズッキーニの中身はリコッタ、クリームはウニとイカスミ、ジャガイモ、サフラン。上質なウニとイカスミが作り出す独特の香りと味わいはこれから先も口にするたび「レ・カランドレ」を思い出させることだろう。

いたずら好きなマッシミリアーノは、自宅でゆで卵を裏ごしし、娘に目をつぶって食べさせたら「リコッタだ!!」と答えたという。そうしたエピソードから生まれた料理。確かに目をつぶって食べてみるとその舌触りと味わいはリコッタを思い出す。そこにオマール、キャビア、牡蠣のスース、赤海老という魚介類。卵とキャビアの相性の良さに白アスパラの歯ごたえがアクセント。仕上げに軽いベルガモットの香り。

冷製緑豆春雨を使った冷たいパスタ。春雨はグルテンフリー・パスタとしてもイタリアで現在注目されている。ヴィネガーと香味野菜が効いた冷たいトマトソースはガスパチョ風。イカはほぼ生の火入。

ヴェネツィア湾でとれるソフトシェルクラブ、Moeche=モエーケの中に詰め物を施し(パンとカニの肉?)パン粉とつけてカリっとフリットに。それだけでも美味しいが生姜が効いたジンジャークリームソースで後口もさっぱり。

最後のドルチェはまさにマッシミリアーノの独壇場だ。最初に登場したのは空っぽのスープボウル。果たして何か来るのか?と思っていても一向に登場する気配がない。よく見ると皿の糸底部分にフィルムが貼ってあったので、ボウルをひっくり返して見るとなんと糸底部分に金箔を貼ったカスタードクリームが隠されていた。そして2つめのドルチェがイリュージョンと題されたチョコレートの盛り合わせ。ルアーや磁石などを使い遊びながら、さまざまな場所に隠されたことなる味わいのチョコレートを探しながら楽しむという、実にマッシミリアーノらしい遊び心のドルチェ。

イリュージョンを食べ終えて全部終了したかと思ったところで「これはうちのスペシャル・リゾット、一口だけでもどうぞ」と鍋のまま持ってきてくれたのがサフランとリコリスのリゾット。アスパラガスのコンソメで炊いてあり、チョリソーが辛味のアクセントに。なによりもリコリスの爽やかな香りとほのかな甘みがドルチェの後でもまだ食べたい気分にさせてくれる。イタリアを代表するガストロノミー・レストランでありながら、実にくつろいだ気分で過ごせるのはなによりもマッシミリアーノの人柄によるところが大きい。肩肘張らずに楽しみながら食事する、というのはイタリア式ライフスタイルの重要なポイントだが、「レ・カランドレ」はその大切さをあらためて実感させてくれるのだ。

レ・カランドレ Le Calandre
www.alajmo.it
Via Liguria,1 Rubano (PADOVA)
Tel +39 049 630303

 

記事:池田匡克