Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

2022トレビッキエーリ受賞全12ワインの特別ペアリング・ガラ・ディナー

2021年10月16日(土)〜17日(日)の2日間に渡り、ガンベロロッソ Gambero Rossoが発行するワインガイド「ヴィーニディタリア2022 Vini d’Italia2022」の発表会がローマ郊外のマリオット・パーク・ホテルで行われた。今回はその全日程に招待ジャーナリストとして参加させてもらったので各イベントをそれぞれ紹介していきたいが、まずは前夜祭として2021年10月15日(金)に行われたガラ・ディナーの様子から。会場となったのはローマ旧市街にある「リメッサ・ロショーリ Rimessa Roscioli」。この夜はガンベロ・ロッソの貸切で行われたのだが、その内訳はというとトレビッキエーリに選ばれ、さらに各アワードも受賞した12のワイナリー関係者、世界各国から選ばれた6名のワイン&フードジャーナリスト、ヴィーニディタリアのキュレーター、マルコ・サベリコ Marco Sabellico、CEOルイジ・サレルノ Luigi Salerno、会長パオロ・クッチャ Paolo Cucciaらガンベロ・ロッソ関係者あわせて50名という限定ディナーだった。

まずはアペリティーヴォスタイルで、店先でのブッフェスタイルで登場したのは赤海老のタルタルと生牡蠣、そして最優秀スパークリング・ワインに選ばれたヴィッラ・サンディ Villa Sandiのカルティッツェ・ブリュット・ラ・リヴェッタ ’20。柑橘や梨などのニュアンスとほのかに感じる甘み、しかし最後にはアーモンドのようなビターな余韻が長く続く、最高品質のカルティッツェ。ちょうどいあわせたヴィッラ・サンディ社社長ジャンカルロ・モレッティ Giancarlo Moretti氏、プレス担当マヌエラ・オレーニャ Manuela Oregna女史らと2年ぶりに再会し、受賞を祝して乾杯する。そのあとは着席しての本格的なペアリング・ディナーの始まりだ。まずはブッラータをウニ、カンタブリア産アンチョビ、コラトゥーラという3種類の異なるフレーバーで味わう。あわせたのは最優秀ワイナリーに選ばれたグイド・ベルルッキ Guido Berlucchi&Cのフランチャコルタ・ナトゥール61 ’14、昨年創業60周年を迎えたフランチャコルタ産みの親、グイド・ベルルッキのフラッグシップワインだけにレモンのような柑橘類からヘーゼルナッツのようなコクのある味わいも併せ持つ複雑かつ切れ味あるフランチャコルタ。脂分の多いブッラータと合わせるのには最適。

次は山羊のチーズ2種類と香ばしく焼いた帆立のバターソテー、ニシンの燻製。これには2種類の白をあわせた。まずは有名醸造家リッカルド・コッタレッラ Riccardo Cottarella とアンティノーリ Antinori社の指導&サポートによりソリダリエティ・プロジェクト賞を受賞したサンサルヴァトーレ San Salvatore1998のパエストゥム・フィアーノ・ピアン・ディ・スティオ Paestum Fiano Pian di Stio ’20 柑橘のほかにジネストラやミモザといった黄色い花の香りを併せ持つ最高品質のフィアーノ。もうひとつは最優秀白ワイン賞を受賞した、フリウリの雄リヴィオ・フェッルーガ Livio TellugaのTerre Alte ’18 リヴィオ・フェッルーガは同賞受賞にあたり、特別垂直試飲会に招待いただいたので詳細はまたあらためて書きたいが、創業者である故リヴィオ・フェッルーガが規範としたソーヴィニヨン・ブランのキャラクターを前面に出し、ピノ・ビアンコとフリウラーノがアロマティックな部分を補完するイタリアを代表する白ワインのひとつだ。

脂身がない牛のタルタルはケイパーのペーストとマスタードという刺激的な味わいの2種のソースで食べる。これにあわせたのが同じテーブルに座ったカラブリアの生産者ブリガンテ Briganteのゼロ・ガリオッポ・ロザート ’20で2022年度の最優秀ロゼワイン。赤ワインよりもロゼに向くという土着品種ガリオッポを使ったロゼは酸化防止剤無添加ゆえに「ゼロ」。初のトレビキ受賞ということもありその喜びはひとしおのことだったと思う。いわゆるマッキア・メディテラネアと呼ばれる低潅木(ジネストラ、ミルトなど)の香りと野いちごやチェリーなどの香りが非常に印象的。イタリアのロゼワインは生産量こそ少ないものの、国内外に一定のファンが多いが、そうしたイタリア・ロゼファン注目の的となること間違いなしの希少ワイン。

ここからは3種類のパスタが登場、まずはローマが誇る永世定番トンナレッリ・カチョ・エ・ペペ。歯ごたえある硬めのトンナレッリに濃厚なペコリーノを使ったソースはローマ人の好む味わい。これに合わせた赤は最優秀コストパフォーマンス賞を受賞したテヌータ・ルビーノ Tenuta Rubinoのブリンディジ・ロッソ・ススマニエッロ・オルトレメ 19 Brindisi Rosso Susumaniello Oltreme’ 19過去にも同ワインで何度もトレビキを受賞している常連だが、これは地元のベテランブドウ栽培農家がその名を教えてくれたという、イタリア人でも普通は知らないススマニエッロという希少品種ススマニエッロを使った赤ワイン。濃厚かと思いきや軽快かつチャーミング、ベリー類に加えてスパイスの香りも併せ持つドライな味わいが特徴的。

次のパスタは古代小麦で作ったフェットゥチーネでシンプルにバターとオイルのみであえてある。古代小麦の甘味、独特の旨味、シナモンやセージの香りが素晴らしい。合わせた赤は最優秀栽培家賞を受賞したジャンニ・ドーリア Gianni Dogliaのバルベラ・ダスティ・ボスコ・ドンネ’20 Barbera d’Asti Bosco Donne ’20 タンニンも軽快、華やかかつチャーミングなバルベラ・ダスティも素晴らしいが、特筆すべきはジャンニが作るモスカート・ダスティ・カーサ・ビアンカ Moscato d’Asti Casa Bianca2022年度はトレビキこそ獲得できなかったものの’15,’16,’17,18,19ヴィンテージはいずれもトレビキを獲得。様々な野草、さまざまな果物の香りがグラスの中で踊る、イタリアを代表するモスカート・ダスティ。機会があればこちらも是非試して見てほしい。

最後のパスタはサフラン風味のフレーグラ。これには同じサルデーニャから注目ワイナリー賞に輝いたベントゥ・ルーナ Bentu Lunaのソビ’19 Sobi ’19が登場。まだ若いが非常に意欲的なワイナリーで、サルデーニャ中央部オリスターノ県のDOCマンドロリーサイ Mandrolisai地区の非常に古いブドウ畑ネオネーリ Neoneliから採れたバルベーラ、ボヴァーレ、カンノナウ、カリニャーノ、パスカーレ・ディ・カリアリ、カニュラーリのブレンド。サルデーニャの森を連想させるミルト、ブルーベリー、ブラッドオレンジのようなドライかつ凝縮感のある香りと味わい。レアワイン。

メインの肉料理は三種類のポルペッテで、それぞれ牛肉とバルサミコ風ソース、豚肉とオレンジ、羊と32ケ月熟成ヴァッケ・ロッセ・パルミジャーノ・レッジャーノ。合わせたのはこれも同じく3種類の受賞赤ワインで、それぞれ最優秀赤ワインのアルジャーノ社ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ヴィーニャ・デル・スオロ’16 Brunello di Montalcino Vigna del Suolo ’16 ARGIANO (Red of the year)、最優秀生産者組合ワイナリー賞のサン・マルツァーノ社のプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・セッサンタンニ’18 Primitivo di Manduria Sessantanni ’18 SAN MARZANO (Cooperative winery of the year)、そしてサステイナブル栽培者賞のブリガルダーラ社アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ’16 Amarone della Vaopolicalla Classico ’16 BRIGALDARA (Sustainable viticulture award)をあわせた。アルジャーノ社のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ヴィーニャ・デル・スオロは70年代、90年代の希少ヴィンテージを含む垂直試飲に招待されたのでもこれもまた別の機会に詳述したいが、同社の最優秀畑から作るブルネッロで’16が2年目のヴィンテージ。ダークチェリー、タバコ、カカオの香りにシルキーなタンニン、フレッシュな酸も併せ持つ、今すぐ飲んで美味しい現代風のブルネッロ。サン・マルツァーノ社は年間1千万本以上を生産する巨大コペラティーヴァだがブドウ栽培を全てビオにシフト。テーブルワインと同時にクオリティワインの生産にも力を注ぎ、プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・セッサンタンニ’18はプラムやチェリーなど黒い果実のニュアンス、凝縮感と厚みがある素晴らしいプリミティーヴォ。ブリガルダーラ社アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ’16は過去に何度もトレビキを受賞している常連ワインだが、ミントやハーブなどのフレッシュな香り飲み口爽やかで軽快な飲み口が特徴的。

最後のドルチェは水牛のリコッタにイチジクとクランブル、マルメラータ添えのセミフレッドの2種類だったが、フィナーレを飾ったのがシチリアのウスティカ島で作られるイビスクゥス Hibiscusのザビッブ・パッシート’20 Zhabib Passito’20最優秀甘口ワイン賞に輝いた逸品だ。ウスティカ島は面積わずか865ha、パレルモ沖に浮かぶ小さな島だが透明度が高いことでダイビングの名所であり海底遺跡があることでも知られている。同席したイビスクゥスの女性オーナー、マルゲリータ・ロンゴ Margherita Longoの話によればアグリトゥリズモを営む同社は栽培面積わずかに4ha、しかも畑があちこちに分散しているので収穫は大変だがその分隣接するトマトや豆類などの畑から様々な香りを吸収し、素晴らしいパッシートが生まれたという。ザビーブとはズィビッボのアラブ語で、シチリに残るアラブ文化に敬意を評したもの。蜂蜜のように黄金色に輝き様々な花の香りに加えてバナナやマンゴ、パイナップルといったトロピカルフルーツの香りも併せ持つ極上のデザートワイン。これはまさに極小生産のカルトワインだが、それだけにシチリアの地でもし出会えたらこれも是非試してもらいたい。


リメッサ・ロショーリ Rimessa Roscioli
www.rimessaroscioli.com

 

記事:池田匡克