Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

クルマ通信30マセラティ・ミストラル・スパイダー

マセラティ・ミストラル・スパイダー

 イタリアを愛する人は世界中にいるようです。今年8月にカリフォルニア州モントレーベイのシーサイドで行われた「モントレー・カー・ウィーク」にそんな人たちが集まりました。
 会合の名前は「コンコルソ・イタリアーノ2021」。カーウィークの中でイタリア車に特化したイベントです。集まったのは1000台にも及ぶ歴史的にもパフォーマンス的にも秀でたイタリア車で、愛好家たちの手によって大切に保管されてきたものばかり。日本にも同じようなテーマのイベントはありますが、そこまでのスケールはありません。それにすべてゴルフコースの芝生の上に並べられたのですから羨ましい限り。きちんと整備された芝生の上に愛車を置くなんて、愛好家の夢といってもいいでしょう。
 会場ではクルマに限らず、ファッション、食事、音楽、アートもイタリア一色に染められたというから素晴らしい。イタリア車だけでなく、イタリア文化すべてを愛している人たちの集まりであるのを感じます。日本にもそんなイベントがあったらいいのにと切に願いますね。
 そんな中で注目を浴びたのがマセラティ・ミストラル・スパイダー。カーショーでは「ベスト・オブ・シュー」に選ばれ、パレードでも大きな喝采を浴びたとか。マセラティにはもっとインプレッシブなレーシングカーがたくさんありますから、市販車がそんなに目立つのはレアなことかもしれません。

 そういえば、マセラティのモデル名には“風”の名前が多いことを以前書いたことがありますが、スタートはこのミストラルと言われています。デビューは1963年で、その後初代ギブリやボーラ、メラク、カムシンが生まれました。みんな風の名前。ちなみに、ミストラルはアルプス山脈からフランス南東部の地中海沿岸部に吹き下ろす風だそうです。フランス語だからでしょうか、情緒的でいい感じの響きです。
 それにしてもミストラル・スパイダーは素敵なデザインだと思います。エレガントで上品さを感じるのは私だけではないでしょう。デザインを担当したのはカロッツェリア“フルア社”のピエトロ・フルア氏。柔らかな彼らの描く曲線に魅せられたクルマ好きは世にたくさんいます。

 


記事:九島辰也