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最新グルメ情報84食における21世紀のモダニズム、ローマ「バウハウス」の場合

食における21世紀のモダニズム、ローマ「バウハウス」の場合

ローマ市街の南、オスティエンセのビッフィ広場にあるカフェBiffiはカジュアルで使い勝手がいいことから、早朝から夜半過ぎまで地域の住民で賑わうランドマーク的存在。そのBiffiが同じ広場の並びに、よりスタイリッシュなロカーレとして立ち上げたのがBauhausだ。20世紀初頭のドイツで生まれたモダニズムの先駆けとなった美術建築学校バウハウスにオマージュしているように、21世紀における飲食店としての機能性、合理性、そこに食のアートをいかに組み込むかということを、カフェBiffiの経営を通して得た経験とノウハウを土台に作り上げたという。

元ベーカリーだった店舗を改装し、インテリアは、青、赤、黒、オレンジを基調色として、幾何学的なデザインで統一されている。そこへ、ファブリックの柔らかなテクスチャーが空間に温かみを与えている。店内は自家製パンが並ぶカウンターとバール(ここでは切り売りピッツァも提供)、テーブル席では昼はパスタあるいはフィッシュ&チップスのようなワンプレートのクイックランチ、夜はコンテンポラリーピッツァあるいは、コペンハーゲンの「ノーマ」で腕を磨いたシェフ、アンドレア・カスターニャによる新感覚に満ちた料理を楽しめる。

例えば、ベリーのジュレとマザーラ産のフレッシュなエビを添えたトピナンブール(カルチョーフィやゴボウを思わせる味わいの根菜)、球体ワカモレを添えたタコ、シャンツァイとフォアグラのコンビネーション、生ハムと生クリームのトルテッリーノの新解釈など、興味をそそられる料理がメニューに並ぶ。もちろんローマ伝統料理も欠かせないが、ともするとヘビーになりがちゆえ、これもまた再構築してライトに仕立てている。さらにシェフは野菜を使いこなすことに重点を置き、皮など普通は捨ててしまう部分も積極的に利用して、ゼロ・ウェイストを実践する。

ベバレッジについては、充実したワインリストのほか、ミクソロジーにも力を入れ、料理と楽しむオリジナルカクテルを提案している。また、顧客のワインやスピリッツの保管も受けており、6ヶ月間いつでも好きな時にそのキープボトルを味わうことができるという。一日のさまざまな場面でカジュアルにもシックにも、そして何よりいつでも上質なフードエクスペリエンスが得られる、それがローマBauhausの提唱する“食のモダニズム”だ。

Bauhaus
Piazza Eujenio Biffi, 3 Roma
06-85388481
9:30〜02:00 無休

 

 

 

記事:池田愛美