Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

最新グルメ情報83ボローニャの名店オステリア・ボッテガ

 

ボローニャの名店オステリア・ボッテガ

 

ボローニャ旧市街から少し外れたサンタ・カテリーナ通りにあるオステリア・ボッテガはガンベロ・ロッソでもトラットリア/オステリアの最高評価に相当するトレ・ガンベリに輝く名店だ。店を仕切るのはオーナーのダニエレ・ミナレッリ Daniele Minarelli、必要以外は喋らないが必要な時にはその知識と深い見識を簡潔に、しかしディープに語ってくれる。オステリア・ボッテガのメニューは読み込む楽しみに満ちている。まず前菜はハム&チーズから、などと軽くオーダーしてはいけない。ここにあるのはいずれもエミリア地方の名品ばかりで例えばチーズはモデナの白牛Vacca Bianca Modeneseを使ったParmigiano Reggiano 30ケ月やPecorino di Fossaなど名品珍品が10種類以上。サルーミ類はオステリア・ボッテガがセレクトした地元の華モルタデッラやロマーニャの黒豚Mora Romagnolaのプロシュット・コットなどこれまたスローフードのプレシディオで見かけるようなものが13種類並ぶ。ある夜食べたのはこんな料理だ。

ボローニャに来たなら手打ちパスタは外せない。季節のカボチャを使ったトルテッリはやはりモデナ白牛のパルミジャーノ・レッジャーノをバターとともにソースにしてあった。マントヴァやモデナが有名だがこの詰め物は甘さは控えめ、シナモン、アマレット、ナツメグの複雑な香り。生地はやや厚めで食べ応えがある。

ストリケッティとはマルタリアーティのようなものでさまざまな形があるが、これはファルファッレ。工業製品のパスタでファルファッレといえば硬質小麦だがこれは軟質小麦と卵を使ったエミリア地方風の手打ちファルファッレ。工業製品でよくいわれる芯がいつまでも硬い、という問題もなく黒豚のサルシッチャと縮緬キャベツという組み合わせも冬の家庭料という感じ。なにより具材とパスタのバランスがいい。

伝統的にボローニャのラザーニャはほうれん草を練りこんだ緑色のものが多く、食料品店などではよく真緑色のラザーニャをみかけるが、これはほのかに緑色が顔を覗かせる程度の緑色。ラグーは粗挽き、トマトは最小限、しっかりと表面は焼き切って香ばしく食べさせてくれる。

セコンドはひとつだけ、フォンド(肉汁)をかけながらローストしたモーラ・ロマニョーラ子豚のスペアリブ。骨から簡単に外れるほどほろほろでバルサミコを仕上げに使っていた。やや塩は強めで醤油が焦げたような、日本の照り焼きを思わせる香ばしさ。付け合わせはフィノッキオのグラタン。フィノッキオは根菜なので火を通すと甘みが増し、乳製品との相性がいいのでグラタンは最適な調理法なのだ。

ズッパ・イングレーゼはトスカーナのドルチェ、と思われていることが多く先日から友人からも質問されたので調べて見たところ、起源は1500年代のルネサンス。ロンドンから戻ったエステ家の外交官がイギリスで食べたトライフルが忘れられなく、宮廷料理人に作るよう命じたのがその始りだという。エステ家はフェラーラとモデナを本拠にし、当時は料理界のダ・ヴィンチといわれた宮廷料理人メッシスブーゴが活躍していた時代。スポンジケーキ、カスタードクリーム、そして真紅のアルケルミスを使う今の形が出来上がったという。Osteria Francescanaではかつてアルケルミスをフィルム常にしたズッパ・イングレーゼを出していたことがあったが、ボットゥーラいわく99%のアルケルミスは工業製品で唯一使用に耐えうるのがサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のアルケルミスだという。
ワインリストはないので基本的にダニエレにおまかせ。希望をいうと最適なワインを選んでくれるので、1本目はRomagna Sangiovese Superiore “Tre Rocche” 2017、2本目はBarberaとNegrettoを使ったEmilia IGT “ORSI” Vigneto San Vito 2016だった。ちなみに会計はというとトラットリア(オステリア)だけに満足感はもちろんのこと、目を疑うような非常にリーズナブルな価格。それだけに早めの予約必須だがサイトはないので電話のみ。もし幸運にも席が取れたなら、素にして簡だが卑ではない、そんなボローニャ家庭料理が心底堪能できるはずだ。

Via Santa Caterina, 51 Bologna
Tel+39-051-585111

 

 

 

記事:池田匡克

 

Sua Maestaとは英語で言うならHer Magestyつまり尊敬を込めた「モルタデッラ閣下」となる。ボローニャ人にとってそれほどまで身近であり、ソウルフードでもあるモルタデッラは正直大量生産の工業製品も多いが、昔ながらにじっくりと火入れして作った手作りモルタデッラは本当に美味しい。ごく薄切りに登場したモルタデッラはほのかにニンニクが効いており、しっかりと豚の旨味を感じる作りだった。

ボローニャに来たなら手打ちパスタは外せない。季節のカボチャを使ったトルテッリはやはりモデナ白牛のパルミジャーノ・レッジャーノをバターとともにソースにしてあった。マントヴァやモデナが有名だがこの詰め物は甘さは控えめ、シナモン、アマレット、ナツメグの複雑な香り。生地はやや厚めで食べ応えがある。

ストリケッティとはマルタリアーティのようなものでさまざまな形があるが、これはファルファッレ。工業製品のパスタでファルファッレといえば硬質小麦だがこれは軟質小麦と卵を使ったエミリア地方風の手打ちファルファッレ。工業製品でよくいわれる芯がいつまでも硬い、という問題もなく黒豚のサルシッチャと縮緬キャベツという組み合わせも冬の家庭料という感じ。なにより具材とパスタのバランスがいい。

伝統的にボローニャのラザーニャはほうれん草を練りこんだ緑色のものが多く、食料品店などではよく真緑色のラザーニャをみかけるが、これはほのかに緑色が顔を覗かせる程度の緑色。ラグーは粗挽き、トマトは最小限、しっかりと表面は焼き切って香ばしく食べさせてくれる。

セコンドはひとつだけ、フォンド(肉汁)をかけながらローストしたモーラ・ロマニョーラ子豚のスペアリブ。骨から簡単に外れるほどほろほろでバルサミコを仕上げに使っていた。やや塩は強めで醤油が焦げたような、日本の照り焼きを思わせる香ばしさ。付け合わせはフィノッキオのグラタン。フィノッキオは根菜なので火を通すと甘みが増し、乳製品との相性がいいのでグラタンは最適な調理法なのだ。

ズッパ・イングレーゼはトスカーナのドルチェ、と思われていることが多く先日から友人からも質問されたので調べて見たところ、起源は1500年代のルネサンス。ロンドンから戻ったエステ家の外交官がイギリスで食べたトライフルが忘れられなく、宮廷料理人に作るよう命じたのがその始りだという。エステ家はフェラーラとモデナを本拠にし、当時は料理界のダ・ヴィンチといわれた宮廷料理人メッシスブーゴが活躍していた時代。スポンジケーキ、カスタードクリーム、そして真紅のアルケルミスを使う今の形が出来上がったという。Osteria Francescanaではかつてアルケルミスをフィルム常にしたズッパ・イングレーゼを出していたことがあったが、ボットゥーラいわく99%のアルケルミスは工業製品で唯一使用に耐えうるのがサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のアルケルミスだという。
ワインリストはないので基本的にダニエレにおまかせ。希望をいうと最適なワインを選んでくれるので、1本目はRomagna Sangiovese Superiore “Tre Rocche” 2017、2本目はBarberaとNegrettoを使ったEmilia IGT “ORSI” Vigneto San Vito 2016だった。ちなみに会計はというとトラットリア(オステリア)だけに満足感はもちろんのこと、目を疑うような非常にリーズナブルな価格。それだけに早めの予約必須だがサイトはないので電話のみ。もし幸運にも席が取れたなら、素にして簡だが卑ではない、そんなボローニャ家庭料理が心底堪能できるはずだ。

Via Santa Caterina, 51 Bologna
Tel+39-051-585111

 

 

 

記事:池田匡克