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最新グルメ情報78美味なるものを気が向くままに。リストランテ・ロカーレの楽しみ方

美味なるものを気が向くままに。リストランテ・ロカーレの楽しみ方

ナヴォーナ広場のすぐ近く、100年の歴史を背負う「バール・デル・フィーコ」は、その歴史をただ誇るだけでなく、時間とともに変わることを恐れず、同時に、ローマらしさを失わないことで常に人気店であり続けている。
ではローマらしさとは? 誰もが気兼ねなく寛げること、シンプルでベーシックな食が楽しめること、そして、時代の先端を少し感じられることだろう。ミニマリズムではスノッブ過ぎる。食の好みも保守的。とは言え、新しくて楽しいことを期待したい。そんな気分をうまくキャッチしているのがバール・デル・フィーコだ。

1922年にラッテリアとして誕生して間も無く人気のバールとなり、朝から夜遅くまで人々に愛されてきたバール・デル・フィーコは、30年ほど前に食事もできるバール・リストランテとなり、つい最近、さらなるリスタイリングを経て、リストランテ・ロカーレに生まれ変わった。鮮やかなブルーとフクシアピンクを中心としたカラフルな色づかいに、クリスタルガラスを多用した空間は、気分を晴れやかにする。

料理についても新たにマッシモ・バローニをシェフに迎えて一新。バローニはローマ生まれのローマ育ち、実家はローマの有名バールを営み、自身もゲットー地区でビストロをオープンするなど常にローマ飲食業界でキャリアを積んできた。また、シンガポールのホテル・レストランではイタリア&日本のフュージョン料理のセンスを身につけてもいる。

バローニがバール・デル・フィーコで繰り広げるのは、ローマ伝統をベースに海外での体験を織り交ぜた、シンプルに美味しさを感じられる料理だという。ローマ風バッカラや、バターとアンチョビ、レーズンのスパゲッティといったローマ料理とともに日本風マグロのタタキ、パタネグラ仔豚の中国風甘酢味などがメニューに並ぶ。いずれも素材の旬を大切にするため、季節に応じて料理は変化させる。「美味しいと思ってもらうには、良い素材を使い、その良さを素直に引き出せばいい。それに、スプーマとかアリアなど分子料理にはもう誰も驚かないから」とバローニ。実のある料理が一番だと語る。

また、カジュアルなロカーレとして不可欠なのがピッツァだ。薪窯ではクラシックなピッツァ、トッピングの妙を楽しむグルメピッツァ、大豆粉、米粉、小麦粉の軽く香ばしい生地のピンサも焼く。デザートには自家製のティラミス、シチリア風カンノーリのほか、有名パスティッチェリア「クリスタッリ・ディ・ズッケロ」の美しいフレッシュケーキも。
ワインリストは未だ進化の途中だが、カクテルは充実している。特に自家製のウォッカにレモン、シロップなどで作るフィーコ・サワー、自家製のラム、ライム、シナモンシロップのダイキフィーコ、自家製ジン、ヴェルモット・ロッソ、カンパリのネグローニ・アル・フィーコはぜひ試したい。

Bar del Fico Ristorante
https://www.bardelfico.com
19:30〜23:00 月曜休

Photo by Emanuela Rizzo

 

 

 

記事:池田愛美