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最新グルメ情報70故郷ナポリをテーマに。フランチェスコ・アプレーダの新メニュー

故郷ナポリをテーマに。フランチェスコ・アプレーダの新メニュー

ローマの中心地、パンテオンのすぐ傍に位置する五つ星ホテル「The Pantheon Iconic Rome Hotel」はその絶好のロケーションとスタイリッシュなデザインが魅力だが、もう一つの“大看板”がダイニングだ。エグゼクティブ・シェフのフランチェスコ・アプレーダは、ローマの格式あるホテル・ハスラーのエグゼクティブ・シェフを長年務め、ローマにおけるファイン・ダイニングを牽引する泰斗の1人である。
ホテル学校卒業後、イタリアでの短い修業期間を経て、20代初めにロンドンへ。「Le Gavroche」などで経験を積み、27歳の時にハスラーの要請で、ハスラーと非公式ながら提携関係を結んでいた東京・帝国ホテルの「Cicerone」へ。3年を日本で過ごした後、2003年にハスラーのダイニング「Imago」のシェフに就任。そして2019年、ザ・パンテオン・アイコニック・ローマ・ホテルのエグゼクティブ・シェフとして「Idylio by Apreda」と「Divinity Terrace」を指揮している。
そのアプレーダが2022年の新機軸として、ナポリをテーマとしたメニュ・デグスタツィオーネを発表した。日本を含めた外国での経験、そして世界中から旅行者が訪れるローマのホテル・ダイニングという性格上、インターナショナルな感覚を大切にしてきたアプレーダにとって、故郷ナポリの味を皿上に表現するのは初めてだという。
コロナ禍は多くの人にさまざまな精神的影響をもたらしたが、アプレーダにとっても自分を見つめ直す時間となった。「これまでの出来事を思い返すことによって新たな刺激が生まれた。このメニュ・デグスタツィオーネは私が人生の中で得た味の物語だ」。

タイトルは「Terra mia」、シンプルだが、そこにはナポリ出身の歌手ピノ・ダニエレへのオマージュも含まれている。より高いレベルを目指して故郷を離れ、エミリア・ロマーニャの海辺のレストランで働いていた時に、訪ねてきた従兄弟が持ってきてくれたのがピノ・ダニエレのアルバム「Terra mia」だった。以来、そのレコードは常にアプレーダの傍にあり、自分が何者でどこから来たのかを思い出させてくれたという。
「Terra mia」(5皿120ユーロ)は、アプレーダが子供時代、青春時代に親しんだ味、料理をイマジネーションの源にして、インドやオリエントのスパイスをアクセントやアレンジのポイントに使っている。

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Caprese variegata e Gamberi rosa(カプレーゼのバリエーション ピンクのエビ)はモッツァレッラを38℃で提供。

Impepata di Cozze e Malanzane(ムール貝とナスのインペパータ)はクラシックなムールの胡椒蒸しに家庭で手作りしたナスのオイル漬けを思わせる酸味、アプレーダが子供時代に好んで食べたリコッタの甘みを添えている。

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Maccheroni Arruscati al Ragù Napoletano(焦がしマッケローニのラグー・ナポレターノ)ナポリ家庭料理の一つ、前日の残りパスタ(トマトソースが王道)をフライパンで焦げ目がつくまで焼き付けた=arruscatoもののアレンジ。ポイントは20種類ものスパイスを使うこと。

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Sciabola alla Brace “Vista Positano”(太刀魚の炭火焼“ポジターノの眺め”)

Babà “Mille Culure”, Alloro e Albicocche(極彩色のババ、月桂樹とアブリコット)

そのほかにもメニュ・デグスタツィオーネは3種類あり、塩を使わずに“塩”を感じさせる料理で構成された「Sapidità Essenziali」(7皿160ユーロ)のほか、「Iconic Signature」(6皿140ユーロ)、「Idylio’s Butterfly」(4皿100ユーロ)を選べる。とりわけ「Sapidità Essenziale」はオーガニックの素材にこだわり、野菜、魚、肉の配分を順に50%、40%、10%とするなど、健康をキーワードに考え抜かれている。
「Idylio by Apreda」、ローマの最新のガストロノミーを体験を求めるなら是非とも訪れるべきスポットだ。

IDYLIO BY APREDA
The Pantheon Iconic Rome Hotel, Autograph Collection
https://www.thepantheonhotel.com/idylio-by-apreda/

Photo by Alberto Blasetti

 

 

 

記事:池田愛美