Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

人生は祭りだ Vol09トルニョン:スキー学校の先生がイケメンすぎた話

今は夏に向かう季節ですが、今回は冬のお話。ミラノに住んでいた頃、スキーへよく行った。アルプスも近いのでスキー場はよりどりみどり。その中でも僕たちが足繁く通ったのはトルニョンという街で、モンテビアンコの近く。(モンテ=山、ビアンコ=白。フランス語ではモンブラン)初めて行った海外のスキーリゾートは、ゲレンデは日本と同じだったが、それ以外は随分とおしゃれで洗練されて見えた。

いわゆるスキー場のロッジは、日本だと大学の学食のようなイメージが多き気がしますが(違うところもあったら失礼!)、イタリアのそれは、バーやカフェのよう。ウッドデッキには直火で作られたホットワインがあったり。食べ物はパスタやパニーニなど簡単なイタリアンやフレンチがメイン。カツカレーや味噌ラーメン大盛りなどではない。現地の人にとっては当たり前なんだろうけど、最初は、カッコいいなぁ〜と舞い上がってしまった。

ゲレンデの途中にあるそうしたロッジのいくつかは、夜になると、「秘密のレストラン」になる。一通り滑り終わって一度宿に戻り、シャワー浴びて出直し、待ち合わせ場所へと向かう。そこには予約してあったスノーモービルが何台かタクシーのように待っていてくれている。家族4人でそのスノーモービルにまたがり、真っ暗なゲレンデをひた走っていく。当然寒い。でも、この、真っ暗な中、ゲレンデをぶっ飛ばすスノーモービルに、子供はもちろん、大人もテンションは上がらないはずがない。やがて遠くの方に明かりが見えてくる。その明かりこそが目的地のレストラン(=昼間のロッジ)。昼間とは全然違う趣になっており、テーブルにはクロスがひかれ、メニューも夜バージョン。一番初めに行った時は、そこが昼間と同じ場所だとは気づかないくらい佇まいが変わっていた。

ロッジの他にもう一つ驚いたことがあった。二人の子供たちはスキースクールに入ったのだが、そこの先生が、もう、なんていうか、彫刻のような彫りの深い顔をしたイケメン先生だったこと。先生の名前はダヴィデと言った。もうダヴィデ像にしか見えない。声までかっこいいので、集まった子供たちの保護者のお母さんたちも、心なしか紅潮した顔でダヴィデを見つめていた。加えてダヴィデは、めちゃくちゃ優しかった。小さな子供に寄り添って、小さな、いい声で、「ブラーボ(いいぞ)」と囁き続けた。ダヴィデに褒めてもらうと、なんかこう、本物のダヴィデ像に誉めてもらっているような、なんとも言えないいい気分になったもんでした。


ゲレンデ途中のロッジ。映画のワンシーンの様

 

薪火で温められたお鍋の中はホットワイン。無料か!とおもったら有料でした。

 

スキー教室は日本と同じシステム。違うのは先生の顔立ち


晴れるとこんな感じ。雄大で美しい。

 

志伯健太郎
クリエイティブディレクター。慶應SFC、イタリア・ローマ大学建築学科で建築デザインを学び、2000年電通入社後、クリエイティブ局配属。数々のCM を手がけたのち、2011年クリエイティブブティックGLIDER を設立。国内外で培ったクリエイティブ手法と多様なアプローチで、企業や社会の多様な課題に取り組む。 glider.co.jp