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最新グルメ情報59新生「バッカーノ Baccano」とカルボナーラ・キングの実力

新生「バッカーノ Baccano」とカルボナーラ・キングの実力

過日、ローマで行われた「トレビッキエーリ2022」イベント中、ガンベロロッソのメンバーと訪れたのがトレヴィの泉近くにあるレストラン「バッカーノ Baccano」だ。「バッカーノ」はパリのビストロを思わせるダイニングスペース、カウンター中心のアメリカン・バー・コーナーで構成され、オープンからすでに10年たつのだがこの度スタッフを一新。ワインリストから料理メニューまでフルチェンジして新らしく再出発したのだ。ワインリストを担当したのは新しくマネージャーとなったヴァレリオ・カプリオッティ Valerio Capriotti。イタリアワインのみならず、パタゴニアからドイツ、フランス、特にピノ・ノワールに関しては世界中のワインを集めたと豪語している。そして名店「ロショーリ Roscioli」で長年厨房を率いた伝説の料理人ナビル・ハッセンが、この度シェフに就任した。

チュニジア出身のハッセンはまだ未成年だった1981年イタリアのパンテッレリア島に渡り、「ラヴァピアッティ Lavapiatti=皿洗い」から初めてやがて料理をまかされるようになる。まさか自分が料理までするようになるとは思いもしなかった、というハッサンだったが、おそらく当時のシェフはハッサンの中にきらめいていた可能性を見出していたのかも知らない。

パンテッレリアから州都パレルモのレストランで7年、そして2008年には首都ローマに移り「ロショーリ」のシェフに就任。その後の活躍はガンベロロッソでも度々取り上げられ、「ベスト・カルボナーラ賞」を受賞したこともあるほどだ。もう十年以上前になるが当時の記事を見て「ロショーリ Roscioli」のカルボナーラの撮影に訪れた時、厨房で料理を担当してくれたのがこのハッセンだった。この夜、久しぶりに口にしたアマトリチャーナはプレゼンテーションも含めて「ロショーリ」時代のものと寸分違わないハッセンの味。挨拶に出て来てくれたハッセンとも久しぶりの再会をお互いに喜んだのだ。

さて、新生バッカーノのその夜の料理はこんな具合だった。まず前菜はモルタデッラと自家製のフォカッチャ、焼きたてのピッツァ・ビアンカにEVO、パルミジャーノ、黒胡椒をふったスナッキーなつまみの後に登場したのがマルケ産のレバーを加えたサラミ。名物のチャウスコロとはまたちょっと違った食感なのだが、ヴァレリオが「バジリコと一緒に食べてみろ」というので試してみるとこれが実によくあう。さらに新鮮なイワシのフリット、ユダヤ風カルチョーフィと揚げ物が続き、その後満を持して登場したのがアマトリチャーナ。トマトの酸味を生かし、グアンチャーレの脂もキツすぎず、ロショーリ時代と同じくおそらくはペコリーノとパルミジャーノを同量使い、軽快だけれども旨味十分。最後まで軽く食べられてしまうとても上質なアマトリチャーナだった。実はこの後カルボナーラも登場する予定だったのだが、同席していたジャーナリストチームがギブアップ。残念ながら「カルボナーラ・キング」自慢の味を久しぶりに堪能する機会は、持ち越しになったのだが、それは次回ローマを訪れる際の楽しみのひとつとしてとっておくことにしよう。


Baccano
Via delle Muratte, 23 ROMA
Tel+39-06-69941166
www.baccanoroma.com

 

 

記事:池田匡克