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最新グルメ情報40水という名のリゾート 北の湖と南の海辺で過ごす美食の休日

水という名のリゾート 北の湖と南の海辺で過ごす美食の休日

日常から抜け出して束の間の休息を水辺で。ピエモンテのオルタ湖畔でミシュラン二ツ星の「ヴィッラ・クレスピVilla Crespi」を営むシェフ、アントニオ・カンナヴァッチュオロが新たにスタートさせたリゾート「ラクアLaqua」のコンセプトだ。ラクアは、オルタ湖に面した「ラクア・バイ・ザ・レイクLaqua by the lake」、カンパーニアのソレント湾に面した「ラクア・バイ・ザ・シーLaqua by the sea」、そしてこのほど同じくソレント半島に正式オープンした「ラクア・カントリーサイドLaqua countryside」の3箇所で構成されている。いずれも豊かな自然に囲まれた絶景を堪能するロケーションが自慢だ。

ラクア・バイ・ザ・レイクはスイートタイプとアパートメントタイプの18室で、家族連れや友人同士での滞在も可能。食事はカジュアルなビストロスタイルでクラシックなファインダイニングであるヴィッラ・クレスピとは違った気のおけない雰囲気で楽しめる。一方、ソレントの2軒は、アントニオとチンツィア夫人にとっては“我が家”。実は彼らはカンパーニア出身なのだ。ソレント湾のラクア・バイ・ザ・シーは滞在に特化したリゾートで、部屋数は6室と少ないが、全室に海を眺めるインフィニティプールが備わっている。風水を取り入れたインテリア、チンツィア夫人自らがその快適さに感動したというベッド、朝食も自室のテラスで供されるなど、静かなバカンスを好む向きに最適の宿だ。

ラクア・カントリーサイドはソレント半島の、星付きレストランをはじめ名だたる美食レストランが集中するヴィーコ・エクエンセから上った丘にある。アントニオが生まれ育った家を改装した、ダブル4室、ファミリータイプ1室、スイート1室の小体な田園リゾートだ。それぞれの部屋にアントニオ所縁の人の面影を投影し、インテリアもその人々の物語にインスピレーションを得て、二つと同じものはない。
ソレントやアマルフィ海岸などの海沿いはイタリアでも有数の観光地であり、世界中から多くの人が訪れるが(先ごろgoogleが発表した世界の人気観光地=いつか行って見たいところランキングで、アマルフィ海岸は7位。ちなみに5位はローマのコロッセオ、9位がミラノのドゥオモ)、半島の内陸山間部はまだまだ知られていないところが多く、鄙びた昔ながらの雰囲気がたっぷり残っている。そんな手付かずの田舎の良さを満喫できるのが、ラクア・カントリーサイドの魅力だ。

そしてもう一つの魅力は当然、食である。
「私の料理は、故郷カンパーニアと長年過ごしたピエモンテ、つまり南と北それぞれが合わさった独自のもの。それをベースに、ここでは伝統に根ざした土地の食材、季節の味を大切にした料理を提供していく。近隣の生産者の手がける上質な素材はもとより、自家菜園で作る野菜や香草、果樹園の果物、そしてオリーブオイルもカントリーサイドを囲むオリーブ畑で採れる実を絞った自家製を使う」とシェフ。
メニューはアラカルトとコースがあり、アラカルトではアントニオの数々のシグネチャーディッシュが並び、コースは5皿の「Ritorno alle origini(原点回帰)」と6皿の「I Sapori di un tempo diverso(ある一時代の味)」の二つ。いずれもシェフがこれまで歩んできた道のりを体現する、研ぎ澄まされた料理で構成されている。
屋内12卓、テラス15卓と比較的小規模なところも、いかにもシェフ・アントニオの実家といった印象。気持ちのいい田舎の空気と素材の力強い持ち味を楽しめる美食の隠れ宿、季節の良い時にぜひ訪れてみたいものである。

Laqua Resorts
https://laquaresorts.it

 

記事:池田愛美