Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

クルマ通信22マセラティのスーパースポーツ“MC20”

マセラティのスーパースポーツ“MC20”

 今回は以前このコラムでご紹介したマセラティのスーパースポーツ“MC20”が、初めてパフォーマンスを人前でお披露目したという話です。前回はアンベール(ベールを脱いでお披露目されたという意味)だけでしたからエンジン音は聞けなかったというわけですね。つまり、これが正真正銘のお披露目かと。
 場所は英国。ロンドンの南にあるウェストサセックス州のグッドウッドです。そこで去る7月8日から11日までの4日間行われた “グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード”でMC20のエンジンに火が入りました。
 クルマ好きなら誰もが知るこのイベントは、第11代リッチモンド公爵、通称マーチ卿主宰で行われます。「動くモーターショー」をテーマにするここでは、各メーカーの歴史的なモデルから最新のコンセプトカーが飾られる他、英国伝統のヒルクライムレースが行われます。「動く……」というのは、このレースがあるからですね。ヒルクライムレースは一台一台スタートしてその時間を測るタイムアタックレースです。
 今年は第27回を数えるそうですが、当然日本から観に行けることはできませんでした。でも、過去何度か取材したこともあり、写真やニュースから迫力や臨場感が伝わります。耳を澄ませばエンジンサウンドが聞こえそう。とはいえ、一刻も早くコロナ禍以前のように足を運べることを期待したいです。

 MC20がここで注目されたのは当たり前です。最高速度325km/hを誇るブランド初のミッドシップ2シータースーパースポーツが初めて人前で走ったのですから。ブルーのボディとブラックに塗られたルーフ&ホイールの姿が緑の中でバエたことでしょう。このクルマに憧れたカーガイは多いのでは。
 それにしてもこんなイベントができるのは羨ましい限り。なんたってマーチ卿の持っている敷地内ですから自由です。イタリアにもあるのかもしれませんが、耳にしませんね。ミッレミリアでエキシビジョン的にスーパーカーが走ることはありますけど。
 マーチ卿には過去このイベントでお話しさせていただいたことがありますが、絵に描いたような英国紳士です。初めてお見かけしたのは、確かイタリアのコモ湖。その湖畔で開催される“コンクール・デレガンス」にも毎年いらっしゃるようです。クルマ好きはみんな繋がっているんですよね。FORZA MACCHINA !!です。

 


記事:九島辰也