Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

サン・ジミニャーノ

 コロナ禍の前、一年に15回は海外出張していました。およそ20年。なので、合計300回は渡航していますが、そのほとんどがヨーロッパです。
 目的はクルマのテストドライブ。日本市場に入って来る前の新型車を海外で走らせ、どういうクルマであるかを日本のメディアに配信します。ヨーロッパが多いのはそこに自動車メーカーが多いから。単純な理由です。選ばれるのは気候がいいところ。南ヨーロッパが多かったですね。イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル云々。モロッコなど北アフリカを含めて。地中海は冬でも雪は降りませんから。
 イタリアではトスカーナに頻繁に行きました。丘陵地にはいい感じのワインディングが長く続きます。しかも、交通量は少なく、スイスイ動けます。
 まだそれほどイタリアに詳しくなかった時代。(今も詳しくないかも)。何度となくサン・ジミニャーノに行きました。試乗コースとして渡されるルートマップに沿って走ると、そこにたどり着くんです。「今回もまたここに着いた」という感覚。で、そこでランチ休憩というのがお決まりパターン。丘の上につくられた不思議な街での時間です。
 場所が場所なので、雰囲気はあります。13世紀ごろ建設されたという城壁の中の街は特異でした。要塞というか。オーラがプンプン。
サン・ジミニャーノは言わずもがなの観光名所です。観光客はいつもたくさんいました。なので、ランチの後はツアーも用意されていて、高い塔に上ったことがあります。感想は「ひたすら怖い」。そりゃそうですよ。朽ちているのかわからない石の階段を上がるのですから。壁もそうですし、天井も半世紀以上前に建てられたものです。それにイタリアは過度な補修はしません。原形を邪魔しない補強ですね。ガラスをよく使っていました。日本人だったらすぐコンクリートで固めちゃうかも。まぁ、そこがイタリアの素晴らしいところでもあります。
 今思うのはもっと予備知識を入れてから行けばよかったということ。世界遺産のひとつですからね。一日も早くまたランチしに行けることを心から願います。


記事:九島辰也