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最新グルメ情報9料理やカクテルにフードフレグランスで香りをプラス

料理やカクテルにフードフレグランスで香りをプラス

ミラノ発のフード・フレグランスは、料理の仕上げに使うとドラスティックにその印象を変える画期的なプロダクトだ。開発者はデザイナー、建築家でもあるアントネッラ・ボンディ Antonella Bondi。長年ミラノのデザイン、建築界で活躍しているが一時健康を害したことがあり、その際に柑橘類を中心とした食生活にしたところ症状が劇的に改善したという。その時にひらめいたのがこのフード・フレグランスだ。

アントネッラ・ボンディのフード・フレグランスはベルガモット、マンダリンなど南イタリアの柑橘類の他マダガスカルのバニラ、シリアのオリス根、グリーンオリーブ、グリーンレモンといった地中海的なものからユーカリ、コーヒー、バスクの海水などのユニークなものまで合計なんと350種類。全て天然素材のみから蒸留、抽出したナチュラルなプロダクトは料理やカクテルなどの飲料に使うとその効果が最大限に発揮できる。なによりも、持続性ある華やかな香りが最大の特徴だ。

アントネッラは有名シェフたちからの信頼も厚く、Wネームとしてローマのミシュラン3つ星ハインツ・ベック Heinz Beckやルレ・エ・シャトー Relais et Chateauxとのコラボ商品も展開している。また、2017年11月に世界一の料理人マッシモ・ボットゥーラ Massimo Botturaが来日、宮崎県延岡市で行われたフードイベントに参加した人は覚えているかもしれないが、あの時にボットゥーラが作った「リゾット・アル・カチョ・エ・ペペ Risotto al Cacio e pepe」の仕上げに使っていた白胡椒のスプレーがこのフード・フレグランスだったのだ。同じミシュラン3つ星シェフである「レ・カランドレ」 シェフ、マッシミリアーノ・アライモは常々こう言っている。「料理においてわたしは目に見えないもの、形のないものを大切にしたい。それは音や香りです」つまり現代のファイン・ダイニングの世界において香りとは非常に重要なエレメントなのだ。

また近年はカクテルの世界においても技術や素材の進化が著しい。それまでは高級レストランの厨房でしか使われることのなかった調理器具を使ったり、独自にリキュールやエッセンスを蒸留、焙煎して使用するミクソロジーの世界でのやはり香りというアイテムは非常に重要。アントネッラ はバーテンダーとのコラボにも意欲的で、スペインの「ムガリッツ Mugaritz」のソムリエ兼バーテンダー、デヴィッド・リオス David Riosの協力によりカクテル向きのラインも発表している。例えば Ketel One Votka, Green Chrtreuseにカラブリア産ベルガモット・フレグランスを使った「グリーン・ バジル・ミュール GREEN BASIL MULE」、Don Julio Blanco Tequila、ライムジュース、白い柑橘系のブレンド=Agrumi Bianchiのフレグランスを使った「フレスキート Fresquito」などは聞いただけで試してみたくなる一杯ではないか?また、器用なバーテンダーはカクテル作りの最後に、レモンやライムの皮をさっとしぼって仕上げてくれるが、フードフレグランスでカクテルを仕上げる、 そんな演出もきっと絵になるはずだ。

香りと健康の関係についても重要視するアントネッラはミラノIULM大学のヴィンチェンツォ・ルッソ Vincenzo Russo研究所長とともにメンタル・セラピーとリラクゼーション効果におけるフレグランスの効用についても研究。フード・フレグランスを活用して脳に障害を追った患者に香りで刺激を与え、リハビリを促す実践治療にも取り組んでいる。こうした多岐に渡る活動の源は何よりも香りの効果を信じ、実践しているアントネッラ本人の強い意志と、無限のブレンドが可能なフレグランスの特性にある。多くのシェフ、バーテンダーとのコラボが可能なのはオリジナル・ブレンドによるビスポーク(特注)が可能だからだ。

是非自分の料理、あるいはミクソロジーの世界に取り入れてみたい、オリジナル・ブレンドを提案してみたいというシェフ&バーテンダーには要注目アイテムだろう。まだまだ開発中の新製品も多く、先日アントネッラ本人からテストさせてもらったのはなんと「ピッツァ・マルゲリータ」や焼きたてのパンの香りがする「ブレッド・クラム」。こうしたユニークなフレグランスもアイディア次第ではレストラン、バー、パーティシーンなどガストロノミーにおける無限の可能性を秘めている。

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記事:池田匡克