ファッションの世界で今、最大のテーマとなっているのは、SDGs(持続可能な開発目標)です。最初の「S」は「(サステイナブル)」の略。地球環境に負荷の少ない原料、生産、消費などを進める取り組みのことです。ファッション関連では生き物の命を犠牲にしない皮革製品の「ヴィーガンレザー」や、排水やエネルギー消費などの面で地球にやさしい生産プロセス、不要品や在庫品を再利用するアップサイクル、リメークなどが例に挙げられます。イタリアブランドはSDGsを早くから進めていて、「THE NEW ITALIAN COOL」のブランドにも、サステナビリティーを重視したところがたくさんあります。今回はそのいくつかをご紹介しましょう。
健やかな眠りは、安全・安心な暮らしのベースです。だから、寝るときにまとうナイトウエア(寝間着)は特別な装い。親密な人たちだけにしか見せないプライベート感も特別です。
ミラノ発のイタリアンブランド「FAVETTE(ファヴェッテ)」はクラシックなパジャマが得意なブランド。代名詞的なパジャマは、オーガニック素材で仕立てられています。サステナビリティーに配慮したナイトウエアは、肌当たりも穏やかだから、自然な眠りにいざなってくれそうです。
服の出番や居場所を固定しない「シーンフリー」の着こなしが一段と勢いづいてきました。その先駆け的な役割を担ったのはパジャマでした。リラクシングなムードと着心地を、寝室に閉じ込めておくのはもったいないと、世界のおしゃれ上手はパジャマを戸外へ連れ出しました。デザイン性の高い「ファヴェッテ」のアイテムなら、ご近所より遠くにだって、しっかりお供してもらえます。
夏らしいアイコニック装いといえば、やはりスイムウエア(水着)です。ビーチやプールサイドで着るイメージが強いものですが、近ごろは上からシャツやライトアウターを羽織って、街中でまとう着こなしも支持を広げつつあります。
素膚にまとうアイテムだからこそ、ナチュラルな素材を選びたいものです。その点、ミラノ発のブランド「ISOLE & VULCANI(イソレ & ヴァルカニ)」は天然繊維のコットンジャージーだから、サステナビリティーの面でも安心して着られます。
レトロなシルエットもこのブランドの魅力です。ナチュラル素材がしなやかにフィットするので、ソフトな着心地。スイムウエアでは割と珍しいワンサイズなのも、どんな体型にもなじむことの証明です。
SDGsやサステナビリティーへの関心が高まってきたのを背景に、後追い式に天然素材を使い始める動きも出ています。でも、イタリア発のブランド「Progetto Quid(プロゲット・クイド)」は生粋のサステナビリティーブランドなので、立ち位置が全く別物です。
そもそもブランドを立ち上げる前からエシカルでサステナブルなプロジェクトとして企画されました。「プロゲット=プロジェクト」という名前がその証拠。「クイド」は「何かもっと」という意味で、ブランド全体で社会的意義を意識しています。
ウエアやアクセサリーなどを幅広く提案しています。消費者のおしゃれライフ全体をエシカルでサステナブルにしたいという意欲が感じられます。デザインのほうもドリーミングな雰囲気があり、ときめきや華やぎを宿しています。素材調達をはじめ、製造、販売などの全プロセスにわたってサステナビリティーに目配りが行き届いているから、プラウドな気持ちで身に着けられるのも、このブランドのよさです。
サステナビリティーの可能性を広げる取り組みが世界的に盛り上がっていて、素材開発の面でも斬新なアプローチが始まっています。たとえば、これまでは動物の皮を使うことが多かったレザーでも、アニマルフリーの新素材が相次いで登場。キノコから取れる物質で作るレザーも、いろいろなブランドで実用化が進んできました。
イタリアは素材のよさと伝統的な職人我が強みとなって、ファッションビジネスで特別な地位を築いてきました。サステナビリティーの時代を迎えても、その強みは変わることがなく、新素材の活用にも積極的です。メイド・イン・イタリーならではの丁寧な仕上げと、ポジティブなデザインは、サステナブルなおしゃれをいっそう格上げしてくれるでしょう。