ウィメンズのライダースジャケットは定番化 
2着目はタフでクールな本格派を

もともとはオートバイに乗る人向けに考案されたライダースジャケットは、機能性やディテールが評価されて、ファッションアイテム化した一例です。性別に関係なく着やすいアウターである点もジェンダーレスの流れに乗って支持が広がった理由。ミラノ市を抱える、イタリアのロンバルディア州に本拠地を置く「Shangri-La Heritage(シャングリラ ヘリテージ)」はレザーに特化したブランドで、ライダースジャケットもお得意です。
ウィメンズでのライダースジャケット人気が定着した結果、「2着目のライダース」を買い求める人も増えてきました。メイド・イン・イタリーの本格派レザージャケットを手がける「Shangri-La Heritage」の逸品は、2着目にもおすすめ。地球環境やサステナビリティー(持続可能性)にも配慮したナチュラル志向だから、そちらの意味でも安心感が高くなっています。
新作の魅力は、目先の流行にとらわれない「タイムレス」なテイストにもあります。様々な時代のムードをまといつつ、しっかり現代的にアレンジを加えて、幅広いシーンに着ていきやすいアイテムに仕上げました。今回は「Shangri-La Heritage」のウィメンズ新作をご紹介します。

背中や袖でフリンジが躍る 
あえてフェミニン寄りにコーデ

「ヴァレンヌ(Varenne)」は背中と両袖にフリンジをどっさりあしらったモデルです。フリンジなしのバージョンも選べます。体を動かすたびに、フリンジが揺れるから、優美な着映えに。ライダースジャケット特有のハード感は保ちつつ、エレガントでドラマティックなアクションが加わります。
近年のファッションデザインでは後ろ姿を重視する傾向が強まっています。こちらは肩甲骨(けんこうこつ)の高さにフリンジが連なっているので、バックショットもしっかり様になります。
着こなしのコツは、タフ感を生かして、あえてワンピースやフレアスカートといったフェミニン寄りのウエアと組み合わせるアレンジです。柔らかい素材をパートナーに選べば、黒革との好コントラストが生まれます。トレンドのマーメイド風スカートとのコーディネートは美シルエットを描きます。
細部のパーツに至るまで、イタリア流の職人気質が息づいています。たとえば、メタリックなファスナーは、刻印の入ったアンティークな真鍮(しんちゅう)製です。クラシックなアクセサリーのような存在感を発揮してくれます。

明るいテラコッタ色で自在の着こなし
大人の粋なレザールックに

レザージャケットには「黒」のイメージが強いものですが、明るい色のタイプは、着て行ける場面をぐっと増やしてくれます。たとえば、ブラウン系は着こなしレパートリーが豊富。黒ほどにはタフすぎない雰囲気だから、やわらかいトーンでまとえます。
「テラコッタ(Terracotta)」は名前の通り、明るい土色。ウエスタンジャケットにインスパイアされ、イタリアンタッチで再構築したシルエットです。
メイド・イン・イタリーの手仕事仕上げレザージャケットです。ポケット周りや前立て、裾など、あちこちに施された丁寧なステッチが格上感を醸し出しています。襟の切り替えも素敵なコントラストを生みました。
レザーの風合いが品格をまとわせているから、大人にふさわしい装いを演出してもらえます。ボタンやロゴなどのディテールが格上イメージを帯びているのも魅力のひとつ。ウエスタン調のデザインがデニムジャケットよりはシックに見え、ライダースジャケットよりは優しく見えるという、いいとこ取りは普段使いにピッタリです。
デニムパンツと合わせるようなカジュアル寄りコーディネートのアップグレードに役立ちます。コンパクトなシルエットを生かして、ボリュームのあるフレアスカートで合わせると、めりはりの加わったスタイリングに整います。

レーシングジャケットは細身で着こなす
70年代風のタフなクールな女性像

オートバイ乗りが着るライダースジャケットにはダブルブレストやひじ当てなどの特徴がありますが、実はバリエーションが多く、コンパクトなタイプは女性が着やすくなっています。タイトに着られるので、細感を印象づけられるのも、すっきりシルエットのよさです。
「カフェレーサー(Cafe Racer)」は、70年代後半のレーシングジャケットにインスパイアされています。イタリアンタッチを加えて、しなやかな着映えに導きます。
柔らかい質感のラムスキンを使用。イタリア・トスカーナ地方産の植物タンニンなめしを施したうえで、エスプレッソコーヒー色のライニングをあしらいました。
コンパクトなシルエットなので、クールなムードをアピールできます。短めのスタンドカラーがすっきり感をアップ。背中側にステッチでシェイプ感を出してある点も、細感が引き立って映る理由です。
パーツの上質さは「Shangri-La Heritage」の誇り。真鍮製のファスナーは開け閉めで触れるたびに、リッチ感が伝わってきます。裏地に配した大ぶりのブランドパッチもオーナーをプラウドな気持ちに誘ってくれそうです。

ウエスタンジャケットを現代的にアレンジ
襟と袖にレザートリミング

Shangri-La Heritage」はレザージャケットに強みを持つブランドですが、レザーをあしらった布ジャケットも手がけています。デニム生地で仕立てたウエスタンジャケットも人気の高いアイテムです。
エクリュ(生成り)のデニムジャケットは、襟や袖口にレザーのトリミングを施しました。レザー主体のジャケットに比べ、見た目の印象がハードになりすぎないので、気軽に着こなせます。
「シングルライダース(Single Rider)」は60年代後半のウエスタンジャケットから着想を得ました。ミラノ市にあるキャンディアーニデニム社の生デニム(12.5オンス)を使っています。生分解可能なサスティナブル素材です。包装に用いるのも、オーガニックナチュラルコットン製のバッグです。
レザーのトリミング(縁取り)に、トスカーナ産のカーフスキンスエードを用いています。襟と袖先にカラートーンの異なるレザーが配してあるおかげで、程よいコントラストが生まれました。一般的なデニムジャケットを超える格上ムードが備わっているのも、このレザートリミングのおかげです。

肌触りが良く柔らかい上質レザー、
凛とした佇まいが魅力

レザージャケットには硬質なイメージがありますが、「Shangri-La Heritage」のアイテムは、意外なほどにソフトな風合い。だから、体を包み込むように穏やかな着心地を味わえます。コンパクトなシルエットがボディラインを引き締めてくれるので、シャープな着映えに仕上がるのも、このブランドならではのよさ。上質なレザーが醸し出す、大人にふさわしいクール感やたくましさもまとえるレザージャケットを、装いに取り入れてみてはいかがでしょう。
ファッションジャーナリスト 宮田理江

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