日常着を格上げする「イタリア流のバイカージャケット」 
職人技仕立てに上質レザー

「イタリア」と聞いて、思い浮かぶファッションの代表格はレザーウエアでしょう。国土の形がブーツ形であることもあってか、靴が有名ですが、実はジャケット類も高い評価を受けています。イタリアの「ファッション首都」と呼べるミラノ市を抱えるロンバルディア州に本拠地を構える「Shangri-La Heritage(シャングリラ ヘリテージ)」も、レザーに特化したブランドの一角。今回はその魅力をご紹介しながら、レザーウエアとの長く深いつきあい方をご案内します。
「Shangri-La Heritage」は2017年にスタートした、まだ若いブランドですが、長い経験を持つレザー職人を擁して、イタリアならではの伝統的な皮革カルチャーを受け継いでいます。英語で「遺産」を意味する「Heritage」をブランド名に掲げているところからも、レザー文化とクラフトマンシップ(職人気質)への強いリスペクトがうかがえます。
「シャングリラ」はかつてチベットにあるといわれた理想郷の名前です。このシャングリラを探す旅に出るバイカー(オートバイ乗り)をイメージした名前が示すように、「Shangri-La Heritage」はバイカージャケットに強みを持っています。
バイカージャケットにはタフでロックなイメージがありますが、実は欧米では幅広いシーンで着られているウエアです。サッと羽織るだけで、着こなしが決まる点で重宝なアウターでもあります。ちょっと「強め」の雰囲気をまといたいときはもちろん、気持ちに張りを与えたり、アウトドア気分を盛り上げたりするのにも効果的です

職人の顔が見える 
イタリアのクラフトマンシップを継承

「Shangri-La Heritage」の製品はどれもイタリアの伝統的なレザー加工技術を受け継ぐ職人たちが仕上げています。このような紹介は、多くのブランドで見られますが、「Shangri-La Heritage」が他と一線を画しているのは、それぞれの職人のプロフィールと顔写真を、公式サイトで公開しているところ。つまり、「顔が見える」のです。単なる売り文句としての「職人技」ではなく、職人個人の歴史にまでさかのぼって、レザー加工技術の深みを教えてくれます。
近年はファッションの世界でも、サステナビリティー(持続可能性)の重要性が知られるようになってきました。大半のケースでは、地球環境にやさしい原材料を使う形での取り組みが目立ちますが、サステナはもっと意味が広い考え方です。原材料にとどまらず、文化や技術の面でも、次の時代へ受け継ぐことが求められています。
イタリアに根付いたレザー加工の職人文化も貴重な「ファッション遺産」です。手仕事を重んじる「Shangri-La Heritage」のようなブランドのアイテムを、愛着を持って保有することは、職人たちに仕事や働きがいを提供するという意味でソーシャルグッドな環に参加することになります。クラフトマンシップは保つにも伝えるにも手間がかかります。商品の形で世に出た、職人技の成果をワードローブに迎えるのは、そうしたサステナブルな試みを側面から応援することにもつながります。

タイムレスでタフ、そしてアイコニック 
「経年変化」の楽しみ

「ライダースジャケット」と呼ばれて、日本でもおなじみのレザーアウターになりました。「バイカージャケット」という別名が示す通り、もともとオートバイ乗りが着るためのレザージャケットです。流行に左右されないタイムレスな存在。ジャケット自体に存在感があるから、着こなしのパートナーを選びません。
様々なブランドからも提案されているライダースジャケットですが、「Shangri-La Heritage」の逸品は写真でも分かる通り、革の質感が絶妙。衝撃に耐えるバイカー仕様ならではのタフ感を備えているのに、ふっくらしたやわらかさも帯びています。適度な張りがあるので、レザー特有のつやめきをしっかり感じ取れます。丈夫さやぬくもりも申し分ありません。襟や袖先、裾のボア加工にも、丁寧な職人技が息づいています。
レザーウエアを選ぶ際に見逃せないポイントは「経年変化」です。本革は長く使い込むうちに、独特の風合いをまとうようになっていきます。なめしのよくないレザーでは単にくたびれていきがちですが、「Shangri-La Heritage」の上質レザーは着続けるほどに味わいを深めていくのです。これが「経年変化」です。
自然とオーナーの体型になじんで、着心地が高まる点も、上質なレザーウエアのよさ。「Shangri-La Heritage」のライダースジャケットなら、タイムレスな服づきあいを楽しめます。

差がつくポイントは素材やパーツ 
長年の愛着服を表現

レザーウエアに特別感をもたらすのは、レザー本体をはじめ、裏地や金具などのパーツ類のマテリアル(素材)です。シルエットがある程度、オーソドックスに決まっている分、いっそう質感が大事になってくるわけです。
「Shangri-La Heritage」にはイタリア各地から集められた、極上の本革原材料が膨大にストックされています。用途に応じて、寝かせたり加工したりして、最適の状態に整えたうえで、裁断を迎えます。パーツ類もレザーの質感にふさわしいタイプを、アイテムごとにチョイス。「神は細部に宿る」という言葉の通り、ムードを決めるキーディテールとして、ファスナーの引き手に至るまで吟味されています。
あえてピカピカの工業製品風パーツを使わないのは、タイムレスな着映えに仕上げたいから。やや古風な素材を使って、武骨さやオードソックス感を寄り添わせています。脱ぎ着の際に、日々、触れるからこそ、パーツの風合いは、ヴィンテージ感を保つうえで、とても大事なポイント。手に入れた最初のときから、長年の愛着服のように思えるのは、うれしい驚きです。

イタリア流「テーラリング技術」
がデイリー服を格上げ

「Shangri-La Heritage」の特別感は、仕立てのよさからも感じ取れます。クラシックなスーツで評価が高い、イタリア流のテーラリング文化はレザーウエアにも脈々と受け継がれています。スーツを思わせる、端正なテーラリングは、カジュアルなはずの両胸ポケット付きジャケットにも、気取らない品格を宿してくれます。
襟で素材を切り替えたり、表と裏で別素材を貼り合わせるダブルフェイスに仕上げたりといった、仕立て技の巧みさはブランドの持ち味。随所に施されたステッチも格上イメージが漂う理由です。主役レザーアウターを羽織るだけで、手持ちのカジュアルアイテムも、ぐんとスタイリッシュでモダンな着映えに整うはずです。
レザーウエアは10年単位の長いパートナーになるからこそ、経年変化が味わえる極上仕立てを選びたくなります。イタリアならではのテーラリング技術を注ぎ込んだ「Shangri-La Heritage」の逸品なら、10年、20年後の愛着まで約束してくれます。
ファッションジャーナリスト 宮田理江

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