ストレスフリーな靴でエレガント見え!
おしゃれと楽ちんを両立

履き心地の楽な靴が人気を集めています。スニーカーやスリッポンなど、足を締め付けたり圧迫したりしないストレスフリーな靴の支持率は高まるばかり。イタリアの「The Scius Concept(ザ・シウス・コンセプト)」はスリッポン式でありながら、デザイン性の高いおしゃれシューズで知られています。
「The Scius Concept」の靴作りの下地になっているのは、イタリアの伝統的な「furlane(ファーレーン)シューズ」です。第2次世界大戦のあおりで物資不足に陥ったイタリアのフリウリ州で、農民たちは古いベルベット生地や自転車のタイヤを使って、作業靴をこしらえました。バレエシューズのような、紐やベルトのないシンプルな形は、スッと履けて、履き心地も軽快なファーレーンはたちまち愛用者を増やしていきました。
ファーレーンをモダンに昇華した、「The Scius Concept」の靴は伝統の知恵を受け継いだ、タイムレスな逸品。バレエシューズよりもエレガントなフォルムで、色・柄のバリエーションが豊富。イージーに履ける靴のファンが増えるメンズでも、ドレスシューズより楽なうえ、こなれて見えるメリットがあります。今回は「The Scius Concept」の新作をご案内しつつ、今の着こなしになじみやすいシューズ選びを提案します。

色で気持ちをスイッチ
着回しプランの効果的なツール

足元から色を変えるだけで、着こなしのムードががらりとかわります。シンプルなデザインの靴こそ、色で遊ぶと、見え具合が印象的に。つまり、色選び次第で服のイメージを何種類にもアレンジできるわけです。
色はそれぞれに固有のイメージを帯びています。たとえば、赤はあでやか、情熱的、フェミニンといった具合です。主張もインパクトも強めだから、靴で差し色使いするのにぴったり。黒系の装いにレッドシューズを引き合わせるコンビネーションは鉄板的な組み合わせです。
一方、オレンジにはその名の通り、ジューシーなイメージが宿っています。元気感やポジティブ、若々しさといった印象も与えるので、靴にフレッシュな雰囲気を託す履きこなし方を選べます。
上手に使いこなすと、装いの格上げに役立つのはブルーです。クールで知的なうえ、程よくミステリアスでもあるから、大人っぽいシックな着こなしにも迎え入れやすい色。気持ちを落ち着かせるヒーリング効果も期待できる色味を生かせば、お仕事ルックにもなじませられそうです。

柄を取り入れて、トレンド感をアップ 
足元で「プチ冒険」

服に比べると、靴は無地の単色タイプを選ぶことが多くなります。でも、だからこそ、モチーフ(柄)をあしらった靴はおしゃれのムードメーカーになってくれます。靴にスタイリングの「主役」を任せてしまうという選択肢だってあり得ます。
トレンドモチーフのポジションを保ち続けているレオパード(ヒョウ)柄は、アイキャッチーな点で群を抜いています。面積の広い服で取り入れるのは、ためらわれるような場合でも、足元であれば、ボディの真ん中ゾーンから離れているので、スパイス使いを試せます。やりすぎを避けて、靴のワンポイントにとどめるのが賢い取り入れ方です。黒のワントーンといった、渋めの装いにも、適度なアクセントを添えてくれます。
迷彩柄とも呼ばれるカムフラージュ柄には、ミリタリー由来ならではのタフ感が備わっています。マニッシュな雰囲気も帯びているので、フェミニンな装いに交わらせると、ジェンダーミックスのムードに仕上がります。カジュアル寄りの着こなしにも上々の相性を発揮してくれます。
クラシックなチェック柄は長く人気が続くモチーフの代表格です。チェック柄には多彩なバリエーションがあり、それぞれに使いでがあります。シックな白×黒の配色は服との相性を選びません。秋冬に多くなるダークトーンの装いにも英国調モチーフならではのトラッド感や落ち着きを寄り添わせてくれそうです。

注目素材のコーデュロイ
差を付くシューズの切り札

2021-22年秋冬シーズンにカムバックが確実なトレンド素材の一つがコーデュロイです。服ではおなじみですが、靴で取り入れている人は日本ではまだ多くないので、早めに生かせば、差がつくおしゃれになりそう。コーディネートの鮮度を高める働きも期待できます。
コーデュロイはつやめきを帯びているから、足元に華やぎが加わります。多彩な色染めが可能なのも、布地ならではのメリット。カーキ系のような、レザーの靴ではなかなかお目に掛からないような珍しい色味の靴は足元に意外感を呼び込みます。
淡いピンクはレザー靴ではかなりレアですが、コーデュロイ靴では縁取りとの濃淡を出すような配色も可能です。コーデュロイは生地表面の凹凸が持ち味。割と淡いトーンの色にも、この凹凸が微妙な陰影を添えてくれます。
ブルー系は冷ややかさが際立ちがちな色ですが、もともと柔和な風合いを持つコーデュロイと組み合わせれば、ソフトタッチに整えられます。コーデュロイの凹凸がストライプ柄のような見え具合になり、足元にすっきり感も加わります。

ふかふかファーで癒やされ気分
華やぎや意外感も投入

ふわふわの肌触りが魅力のファー素材は冬に恋しくなるマテリアルです。「The Scius Concept」はファー特有の触感を生かした靴作りも得意。カラーバリエーションも豊富にそろえています。
ファーシューズは暖かいだけではなく、ふかふかの肌当たりから癒やしももらえる靴です。毛足が長めのタイプなら、華やかな雰囲気もプラスできます。
様々なカラーが選びやすいファーシューズですが、シックなダークカラーを選べば、履いて行ける場面が広がります。男性も取り入れやすい色味です。服でファーをまとうのには抵抗を感じる人でも、目立ちにくい靴であれば試しやすいはずです。
外側にファーを用いた靴以外に、内側全体にファーを配したタイプも登場しています。爪先までぐるっとくるむようになっているから、足元のぬくもりは格別。寒い日には頼れる保温シューズ。靴の中がポカポカして、気持ちまでなごみそうです。

着こなしのレパートリーが広がる、
豊富な色・柄バリエーション

履きやすさとおしゃれ感を兼ね備えた「The Scius Concept」は、好みの着こなしやその日の気分に合わせて、自在にスタイリングを組み立てられます。すっきりとしたミニマルなシルエットは足をシャープに見せてくれるのに加え、どんな装いにもコーディネートしやすいところも魅力です。豊富な色・柄バリエーションが用意されているから、何色もそろえて、着こなしのレパートリーを広げる楽しみもありそう。足が楽だと、気持ちも晴れ晴れ。「痛みを伴わないファッション」が支持を広げる今、「きれいでヘルシー」な靴はおしゃれの新パートナーにうってつけです。す。
ファッションジャーナリスト 宮田理江

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