Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

FIAT 500

 フィアット500というクルマがあります。500はイタリア語で“チンクエチェント”。なのでクルマ好き同士では略して“チンク”なんて呼ぶのがフツーです。
 このクルマはイタリア人にとって特別な存在だそうです。かなり前のことですが、雑誌LEONのカバーモデルとして有名なジローラモ氏とクルマ談義をした時、そんなことを言っていました。「物心ついた頃に家に古びたチンクがあり、それをレストアしながら運転技術を磨くのがイタリア男子の通る道」だとか。この場合1950年代とか60年代の初代モデルですが、生活に根付いているのが分かります。

 そんな特別な存在ということだからでしょう。チンクはメゾンブランドのグッチや、最高級ボートメーカーのリーヴァとコラボしたモデルを販売してきました。通常、この手のブランドとコラボするのであれば、イタリアにはフェラーリもありますし、ランボルギーニもあります。マセラティもそうですよね。アルファロメオだっていいと思います。でもなぜか大衆車のフィアット500。そこはやはり日本人の我々にはわからない“ナニか”があるのでしょうね。気になります。

 そんなチンクをベースにパワーアップしたモデルがあります。アバルト595/695シリーズです。レースで勝つことを目的に生まれたこのブランドがつくるモデルはまさにレーシーな仕上がりとなります。とにかく速い! で、それをベースにしたコラボモデルもいくつか存在します。しかも、おもしろいことにコラボ相手はフェラーリやマセラティ。同じFCAグループとはいえ、「クルマブランド×クルマブランド」ってなんか不思議ですよね。なんでもありか?
 話をフィアット500に戻すと、イタリア国内には驚くほどたくさん走っています。個人所有もそうですが、企業が自社ブランドの広告塔として使用したりしてます。そんなクルマを見かけるとなんか嬉しくなります。「チンクは愛されているんだなぁ」と。あ、言い忘れましたが、私もチンクユーザーでございます。


記事:九島辰也