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イタリア映画の影響

 昨年フェラーリがローマというクルマを出したのをご存知ですか? フェラーリといえば三桁の数字が並ぶモデルが印象的ですが、最近は都市の名前が付くのも増えてきました。ポルトフィーノもそうですし。
 で、このローマですが、ユニークなのはデザインのコンセプトなんです。なんと、あのイタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニ監督が手掛けた「甘い生活(La dolce vita)」がそれというのです。正確にいうと、そこに描かれていた当時のセレブたちの世界観。1960年の公開ですからミッドセンチュリーな感じでしょうか。大人の男女の妖艶な世界がローマというクルマのデザインの元になっているんです。
 もちろんそれを現代風に解釈してあります。そのままじゃクラシックカーになっちゃいますから。なので、「甘い生活」からインスパイアされ「新・甘い生活(La nuova dolce vita)」というコンセプトになります。なるほど。
 イタリア映画に影響を受けたクルマは他にもあります。日本で人気のミニもそうです。21世紀になってBMWの手により復活したクルマです。で、どこが影響を受けたかというと、プロモーションでの概念。ある時、英国まで出かけて新型車のプレゼンテーションを聞くと、そんな話をしていました。
 そこで話された映画は「イタリアン・ジョブ(The Italian job)」というものでした。クラシックミニが活躍する1969年の映画だそうです。世界的にヒットした映画ですから皆さんもご存知でしょう!とプレゼンテーターは各国のメディアに向かって語ります。ん?「イタリアン・ジョブ」? 聞いたことない……。
 でもその数分後、映画の一場面を観てわかりました。映画「ミニミニ大作戦」です。なんだー!って感じ。邦題って厄介ですよね。こういう時困ります。皆さんは知ってました? それにしても「イタリアン・ジョブ」ってすごいタイトル。ヨーロッパでイタリア人が愛されているのがわかります。

記事:九島辰也