ウール洗浄工場を改装したホテル、最先端のカクテルバー「ラーナ」オープン

かつて工場地帯だったトラステヴェレの南、ポルト・フルヴィアーレ通りは今、飲食店で賑わう地区に変わりつつある。そこに誕生した羊毛の洗浄工場跡を改装したホテルGasometer Urban SuitesにこのほどルールトップバーLanaがオープンした。1920〜1990年代まで工場であり従業員の宿舎でもあった建物は、その工場の５代目オーナーによって、鉄筋や木材を組み合わせた20世紀初頭の工場建築の構造を生かしたホテルとして生まれ変わるにあたり、その目の前に立つヨーロッパで最大を誇ったガスタンクをホテルの名に用いた。建築デザインに興味のある人にとってはなかなかユニークなホテルであり、また、全室スイート仕様ゆえ、ゆったりとしたローマ滞在を好む人にもお勧めだ。

この夏に新しくオープンしたルーフトップバーLanaは総面積250㎡、鉄道線路の走る新市街、その向こうにテスタッチョのモンテ・デイ・コッチやアヴェンティーノの丘といったパノラマを堪能できるのが魅力だ。開閉自在のパーゴラ屋根の下には鉄製のバックバーを従えた６mのカウンターがあり、18時からのアペリティーヴォでは、1ドリンクにサルーミやチーズなどのワンプレートがつく。クラシックなカクテルもあるが、人気はオリジナル・レシピのミクソロジー。

例えば、「カシミア・ダイキリ」は、ココナッツ・ラムをベースにフェイク・ライムとアーモンドのスプーマを合わせて柔らかなカシミアをイメージ。また、フォルミダービレ・アマーロにグレープフルーツジュースとビールで作る、「トザート」（丸坊主）と名付けられたカクテル、シャンパーニュと柑橘のニュアンスを加えたジントニックのアレンジ、「ビクーニャG&T」など、中身もさることながら独特のネーミングセンスが興味をそそる。

カクテルとともにひとひねりの効いた料理も味わいたい。ひとくちサイズの鶏のカッチャトーラ、ズッキーニとサーモンと古代麦のインサラータ、パキーノトマトのラヴィオリとナスのパルミジャーナ、ナスのポルペッテ・フムス添えといった、野菜を多用し、スパイスで変化をつけたものが用意されている。
古代ローマとはまた違った20世紀初頭のローマと21世紀最先端の味が楽しめる注目の新スポットだ。

Lana
Via del Porto Fulviale, 35 Roma
06-91518303
18:00〜24:00　月休
https://lanarooftop.com

 

 

 

記事：池田愛美