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最新グルメ情報74ローマの新美食名所を目指す、ブティックホテルのダイニング「Oliva」

ローマの新美食名所を目指す、ブティックホテルのダイニング「Oliva」

リゾートホテルを主にアジアで展開し、ローマでは「ザ・ファースト・アルテ」や「ザ・ファースト・ドルチェ」など街の中心部でホテルを展開するザ・パヴィリオンズ・ホテルズ&リゾーツが新たに6月末、五つ星ブティックホテル「ザ・ファースト・ムジカ」をオープン。テヴェレ川沿にアウグストゥス廟と対面するという、他の2ホテル同様、ローマ旅行の肝を押さえたロケーションである。部屋数24と小体ながらプールとスパを完備し、観光とショッピングに飽き足らない旅行者に快適なアーバン・リゾート・ステイを提供する。
中でも最も力を入れているのはフード・エクスペリエンス。1964年に建てられたオフィスビルの当時の意匠を現代的に解釈して全面改装、ガラス、セメント、ステンレスを複雑に組み合わせ、ゴールドをポイントカラーに採用。どこか近未来的な雰囲気をホテル全体に纏わせている。その最も象徴的な空間が上階のレストランだ。

5階にメインダイニングの「オリーヴァ」、6,7階のバー&カフェラウンジ「アルト」はホテルのオープン前より始動を開始。ローマのクラシックなグランドホテルや大規模ホテルとは違う、きめ細やかなサービスを提供することを信条としている。
厨房を指揮するのは34歳という若きエグゼクティブシェフ、ファビオ・ペチェッリ。15歳で料理の道に進み、三つ星シェフのニコ・ロミートの元で技術はもとより人間としての成長期を過ごした。そしてローマの五つ星ホテル「デ・ルッシエ」、スーシェフを務めた「ジウダ・バッレリーノ」、さらにカジュアルなモダン・オステリアの「パスティフィーチョ・サン・ロレンツォ」「カフェ・プロパガンダ」などで経験を積み、ガンベロ・ロッソでビストロ部門ローマ1位、イタリアで3位に評価されるに至った。レストランで働くのみならず、機内食テクノロジー分野のイタリアトップ企業のアドバイザーを務めたり、飲食店のオープニングに関わるなど幅広い視野を持つ人物である。

ペチェッリは伝統からインスピレーションを得たコンテンポラリーな感覚の料理を得意とする。ただし、味わいは誰もが美味しいと感じられることが第一、それがイタリア料理の最大の美点でもあるからだ。「上質な食材の持ち味を最大限に引き出す調理を心がけ、イタリアが誇る食文化を損なうことなく、全体的により軽やかに仕立てることを意識している」と語る。“複雑なシンプルさ”をキーワードに、ローマのみならずイタリア各地の伝統料理の美味しさを万華鏡のように楽しんでもらいたいという。カチョ・エ・ペペやカルボナーラはもちろん、オリジナルのオリーヴァ風スパゲット(プッタネスカの進化形)、カリカリ仕立てのコーダ・アッラ・ヴァッチナーラ、さらにミラノ風仔牛のコストレッタ、クラシックなフィレットのグリーンペッパーソース、スコットーナ(経産牛)のフィオレンティーナなど一部を見ただけでも賑やかなラインナップだ。

よりヴィヴィッドな食のひと時を過ごしてもらうため、炭火焼きをオープンキッチンで行う。目でも楽しむことはもちろん、肉、魚、野菜のクオリティをダイレクトに感じられる炭火焼きはごまかしが効かない。それだけ真摯に料理に向き合っていることを示すことができるというわけだ。
「アルト」ではスピーディに手軽に楽しめる料理をメインにしている。生の魚介料理、万国共通のスタンダードな料理、そしてローマの人気ピッツェリア「180Gr」のピッツァやフリット、もメニューに並ぶ。もちろんドルチェも系列の「ザ・ファースト・ドルチェ」ホテルのパスティッチェリア「ヴェーロ」から人気のケーキが届く。アペリティーヴォからそのまま食事へという“アペリティーヴォ・ルンゴ”にぴったりだ。
スタイリッシュな空間で、気取らずにコンテンポラリーな美味が味わえる「オリーヴァ」と「アルト」、ローマの旅に新しいフードエクスペリエンスをもたらしてくれる期待のスポットである。

Oliva Ristorante
Lungotevere dei Mellini, 27 Roma
Tel. +39-06-42984023
https://olivaristorante.it

 

 

 

記事:池田愛美