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バッカラの聖地ヴィチェンツァでフェスタ・デル・バッカラ開催

ヴィチェンツァ、と聞いてすぐにバッカラを思い浮かべる人はかなりのイタリア料理通だ。北イタリア・ヴェネト州に位置するヴィチェンツァは郷土料理「バッカラ・アッラ・ヴィチェンティーナ」でその名を広く世界に知られている。これは本来ならばバッカラ=塩蔵鱈、ではなくストッカフィッソ=乾燥鱈、を使うのが正式で牛乳、オリーブオイル、タマネギ、塩漬けイワシ、チーズ、イタリアンパセリをとともにことこと長時間煮込んだもの。イタリアに数あるバッカラ=ストッカフィッソ料理の中で最も人気も知名度も高い料理である。一般的にはイタリア人の間でもバッカラとストッカフィッソは混同されていることが多いので今回は便宜上バッカラに統一するが、聖地ヴィチェンツァでは毎年9月にバッカラ祭り「フェスタ・デル・バッカラ Festa del Baccalà」開催されているのをご存知だろうか。

「フェスタ・デル・バッカラ」はヴェチェンツァ郊外にある小さな町サンドリーゴ Sandrigoで毎年行われている伝統ある祭りで今年で35回目になる。ストッカフィッソとは本来ノルウェー沿岸部ロフォーテン諸島の漁師たちが獲った鱈を番屋に似た小屋に吊るし、寒風の中乾燥して作る乾燥鱈のこと。会場にはノルウェーの旗があちこちに飾られてロフォーテン諸島から関係者も集う予定、つまり「フェスタ・デル・バッカラ」とはイタリアとノルウェーが「バッカラ=ストッカフィッソ」を通じた料理文化交流を目的としたフェスタなのだ。2022年からはロフォーテン諸島23の生産者が加盟しているTorrfisk Fra Lofoten協会と提携。会期中は出自も確かなStoccafisso(Stockfish) di Torrfisk Fra Lofoten IGPのみが使用されることになっている。

2022年のプログラムは例えば9月13日(火)には予約制のガラディナー「グラン・ガーラ・デル・バッカラ」が行われ、9月15日(木)〜18日(日)、22日(木)〜26日(月)までは特設スタンドがOPENする予定だ。会場内ではビーゴリ、カボチャのニョッキ、ラヴィオリ、ピッツァ、リゾットなどに加えバッカラの天ぷらや寿司も登場。地元ブレガンツェ Breganzeのワインやクラフトビール、合計120種類以上を様々な料理とともに味わうことができる。そしてハイライトは9月25日(日)10時30分から「バッカラの会」によって行われるヴェネツィア共和国時代の衣装を纏った時代行列だ。そして19時30分からはストッカフィッソ発見の歴史を題材にしたオリジナルオペラが上演される予定。まさにバッカラを味わい尽くす2週間、この秋イタリア旅行を考えている人は旅程に組み込んでみてはいかがか。
www.festadelbaccala.com

 

 

 

記事:池田匡克