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最新グルメ情報65シチリアの名門「サン・ドメニコ・パラス」が フォーシーズンズに生まれ変わった

シチリアの名門「サン・ドメニコ・パラス」が
フォーシーズンズに生まれ変わった

タオルミーナが誇る名門ホテル「サン・ドメニコ・パラス San Domenico Palace」は、かつて映画「グラン・ブルー」の舞台となり、ジャン・レノ演じるエンツォとジャン=マルク・バール演じるジャック・マイヨールが幾多の名シーンを演じたことは記憶に新しい。過去取材も含めて何度かこのホテルに滞在したことがあるが、ガラス張りの回廊に囲まれたキオストロ=中庭でのアペリティーヴォはシチリアで最もシックな時間だったことはよく覚えている。しかし昨年7月「サン・ドメニコ・パラス」はフォーシーズンズ・グループに加わり、新たに「サン・ドメニコ・パラス・タオルミーナ San Domenico Palace Taormina」として再スタートを切った。

その歴史は古く1374年にドメニコ会修道院として建設され、500年を経た1896年には改装してホテルとして生まれ変わる。その際かつての修道院に敬意を払い「サン・ドメニコ=聖ドメニコ・パラス」と名付けられたのだ。19世紀末当時、イギリス貴族によるイタリア回帰=グランドツアーのデスティネーションとしてタオルミーナは大いに賑わい、20世紀になるとオスカー・ワイルドら多くの作家やエリザベステイラー、オードリーヘプバーン、ソフィアローレンなどのハリウッドスターが宿泊、タオルミーナの発展に大いに貢献してきた。高台に位置していることからイオニア海とエトナ山が一望でき、建築家マルコ・ベイによるイタリア式庭園はシチリアで最も美しい庭園のひとつだ。

全面的にリニューアルされた客室は全111室。中でもロイヤルスイートはイオニア海とエトナ山、さらに古代ギリシャ劇場までも見下ろす大きなテラスが最大の特徴。しかしホテルを訪れるゲストたちにとって最大の関心はやはりメインダイニング「プリンチペ・チェラミ」とエグゼクティブ・シェフのマッシモ・モンターロ Masssimo Montarroの最新メニューだろう。地元エトナ山麓出身のマッシモ・モンターロの代表料理は「パスタ・エ・セッピア Pasta e Seppia」で、イカスミのタリアテッレと花ズッキーニのフォンデュという海の幸と山の幸のコンビネーションだ。シェフソムリエのアレンサンドロ・マルフィターナ Alessanndro Malfitanaが選ぶのはもちろんシチリアワイン。大いなるシチリアの味をより一層楽しませてくれる、マリアージュにも期待したい。また、あらたにシェフ・パスティッチエレに就任したのはフランスのミシュラン3つ星「ミラズール」でマウロ・コーラグレコと4年働いたキャリアを持つヴィンチェンツォ・アバニャーレ Vincenzo Abagnale。現代のファインダイニングの世界ではドルチェの存在はますます重要となっているのでこちらも楽しみだ。

また、テラスレストラン「ロッソ」ではシチリア伝統料理に加えイタリア各地の郷土料理がオンメニュー。プールサイドの「アンチョビ」では水着で楽しめるライトミールが、さらに中庭の「バー&クロイスター」では茄子とリコッタという「ノルマ」スタイルのストゥッツィッキーニ「ペネット」とカクテルの組み合わせがアペリティーヴォ・タイムを盛り上げてくれるはずだ。

サン・ドメニコ・パラス・タオルミーナ San Domenico Palace Taormina
Piazza S. Domenico, 5 Taormina(ME)
Tel+39-094-2613111
https://www.fourseasons.com/taormina/

 

 

記事:池田匡克