グッチ初のオールデイカフェ、フィレンツェにオープン
グッチのCEOであるマルコ・ビッザーリと「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラが子供の頃からの友人ということで、フィレンツェのシニョリーア広場にある「グッチ・ガーデン」にボットゥーラが監修するオステリアが誕生したのが2018年。メキシコ出身の女性シェフ、カリメ・ロペスによるフランチェスカーナのスタイルとメキシコのエッセンスを組み合わせた料理はその後ミシュランで一つ星の評価を得た。さらにロサンゼルス、そして東京にもグッチ・オステリアが誕生、それぞれの現場を任されたシェフがオリジナルの皿を組み込みつつ、全体としてはボットゥーラがまとめるというシステムとなっている。
フィレンツェにグッチ・ガーデンのカフェがオープンするという噂は昨年秋から広まっていたが、その場所はいつまでも白い覆いがかかったままだった。コロナ禍が収まらず、イタリアはグリーンパス(ワクチン接種済みまたは回復証明書)による厳しい行動制限が敷かれている最中で、当初は4年前のグッチ・オステリアのオープンと同様に、1月のピッティ・ウオモの期間中にお披露目をするのではと言われていたが、それは叶わず、結局2月14日バレンタインデーに「グッチ・ジャルディーノ25」として正式にオープン。4年前はファッションピープルのみならず大勢が押し寄せたが、今回パーティはなし。だが、3月31日で緊急事態が解かれて、日常を段階的に取り戻すとともに旅行者も順調に増え、このカフェにもすでに多くの人が訪れている。
シニョリーア広場の一角、フィレンツェ人に長年親しまれた花屋があった場所に誕生したグッチ・ジャルディーノ25は、2人掛けのテーブルが数卓、それを組み合わせて4人掛けにしている箇所もあるが、せいぜい16人くらいまでしか座れない。だが、明るいベージュイエローのカウンターや壁、孔雀ブルーと呼ばれる鮮やかな革張りのソファが、グッチの現在のディレクター、アレッサンドロ・ミケーレの世界観を感じさせ、小さくてもゴージャスな印象を与える。
オールデイカフェとして朝から夜まで1日のさまざまな場面で利用されることを想定し、朝食、ライトランチ・ライトディナーはもちろん、最近イタリアでも人気のアフタヌーンティやミクソロジーアペリティーヴォにも力を入れている。
バール・マネージャーを務めるのは、元プロのバレーボール選手でその後バーテンダーに転向したマルティーナ・ボンチ。故郷ウンブリアでキャリアをスタートさせ、フィレンツェでは7年間人気のミクソロジーバー「Gesto」のカウンターに立っていた。この度、グッチ・ジャルディーノ25のドリンクを任されるにあたり、オリジナルのカクテルを考案。シグネチャーカクテルの「Mémoire di Negroni」はフィレンツェ生まれのカクテルであるネグローニをモチーフに、柚子風味の酒を加え、バタフライフラワーで美しい紫色に仕立てている。そのほかにも青や緑など昨今のミクソロジーでは珍しい色鮮やかなカクテルもある。そこはやはり“グッチの庭園”らしさを目でも感じてもらおうという意図だろう。
ランチとディナーのメニューは同じで、現在は4種類ほど。「ミッドナイト・トーキョー」は黒ごまとラグーの“ラーメン”、「サポーリ・デッレスト=東の味」はボルシチ、「ヴィアッジョ・ア・モデナ=モデナの旅」はモルタデッラ、リコッタ、バルサミコを挟んだフォカッチャ、「セヴィチェ・オ・キニロー」はアーティチョークのセヴィチェ。一品で軽くという気分の時には便利である。また、アフタヌーンティは、30ユーロでフィレンツェのティーブランド「ヴィア・デル・テ」のお茶を選び、美しく盛り込まれたドルチェ&サラートとともに楽しめる。
店の前にはテラス席もある。グッチ・オステリアがマネージメントしていた時のテラス席は、ごく普通のバールカフェだったが、グッチ・ジャルディーノ25となった今は、フィレンツェの中心で開放感とともにファッション・メゾンのこだわりを味わうことができるとあって、早くも争奪戦の様相を呈している。
Gucci Giardino 25
Piazza della Signoria, 35r
Tel.055-75927012
https://guccigarden.gucci.com/
記事:池田愛美