近ごろのファッションでキーワードになっている「シーンフリー」とは、場面を固定しない着こなしのことです。仕事着、部屋着、水着といった、これまでの使い分けにとらわれない、もっと自由な着方が世界的に支持されています。代表的な例がナイトウエア（寝間着）です。代名詞的なパジャマを、外でも着る提案が受け入れられています。

ミラノ発のイタリアンブランド「FAVETTE（ファヴェッテ）」はクラシックなパジャマに現代的なセンスを注ぎ込み、おしゃれで快適なルームウエアとして提案しています。デザインはプレイフル。シーズンレスに着られるから、昼も夜も着る人をハッピーにしてくれます。今回は「ファヴェッテ」の新作を通して、新たなナイトウエアの着こなし方をご案内します。

日本の一般的なパジャマは割と地味なデザインが多いようですが、「ファヴェッテ」のパジャマは柄や色のバリエーションが豊富です。気持ちを弾ませてくれるような、ポジティブ感の高いデザインも用意されています。

こちらは太いピンクのストライプ柄が目を引きます。しかも、正面の打ち合わせは深いダブルブレスト。そのままパーティーに出掛けられそうな大胆デザインです。

ストライプの効果で、シャープ感が備わっている一方で、明るいピンクがチャーミングさも醸し出しています。さらに、ダブルブレストならではの「きちんと感」も帯びていて、マルチなムードをまとえます。

「寝るだけ」のパジャマにはもったいないぐらいだから、眠りに就く前のナイトライフを読書やゲームなどでもうしばらく楽しみたくなりそう。オンラインミーティングを使ったおしゃべりや飲み会でも、「それ、どこの？」と尋ねられること請け合いの格上パジャマです。

ショートパンツとロングパンツの両方が用意されていて、異なるムードを演出。ショートは軽快でスポーティー、ロングはスーツライクですっきりと、見た目の印象が大きく異なります。同じ柄があしらわれ、セットになったアイマスクは、寝るまではヘアバンド風に着けて、トータルコーディネートを楽しめます。

ストライプ柄以外にも「ファヴェッテ」のパジャマには、ファニーで陽気なモチーフがたくさん用意されています。たとえば、こちらは星形やリップモチーフ、稲妻柄など、いろいろなパターンで埋め尽くしたマルチモチーフのパジャマセットです。

特に面白いのは、漫画のせりふを書き込む吹き出し風の文字入りモチーフです。「I CAN」「PROUD」といった、ポジティブな言葉が書き込まれ、まるで着る人を応援するかのようです。同じ絵柄のモチーフでも配色や傾き、模様などを変えて、複数の表情を帯びさせています。

こちらもショートパンツとワイドパンツが用意されているので、両方そろえて、気分次第で使い分けられます。おそろいのＶネックトップスにも、同じ柄をあしらってあるから、さらにセットアップ感が高まっています。

多彩なプリント柄がアートのようで、このままご近所に出掛けてみたくなるほど。泊まりがけのお出掛けや旅行の夜も、マイパジャマで過ごせそうです。

先に紹介したマルチモチーフ・パジャマのシリーズには、キャミソールワンピースもラインアップされています。ミニ丈のキュートなシルエットに、ウィットフルな柄がマッチ。明るくてファニーなムードをまとわせてくれます。

パジャマやルームウエアは、羽織り物を重ねて、意外感の高いレイヤードルックに仕上げることができます。実は数年前から世界のおしゃれ上手たちが取り入れている着こなし方です。家で過ごす時間が長くなる中、上にサッとアウターを羽織って出掛ける重ね着は、コーディネートに頭を悩ませずに済む「時短レイヤード」に役立ちます。

ラグジュアリーでサステナブルな「ファヴェッテ」を2020年に創業したのは、デザイナーのイラリア・ファヴァ氏です。弁護士として長いキャリアを持つ彼女は2020年、新型コロナウイルス禍の中、ティーンエイジャーからの夢を実現させ、ファッションデザイナーに転じました。

パワフルでエレガントな、自立した女性をイメージした提案は、ナイトウエアの常識を書き換えるほどの魅力を秘めています。もともとパジャマは着心地や吸湿性に優れているので、使い勝手のうえでも申し分なし。「ファヴェッテ」のようにおしゃれ感の高いパジャマなら、アイデア次第で何通りにも着回せます。

親しい相手以外には見せないはずのナイトウエアですが、実は着ている自分が最大の「観客」。お気に入りのパジャマをまとえば、眠りに就く前のプライベートな時間を自分らしく過ごせるから、自然と健やかな眠りに導いてもらえそうです。

ファッションジャーナリスト　宮田理江

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