Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

クルマ通信34ドイツのレッドドットデザイン賞で

ドイツのレッドドットデザイン賞で

 デザインというとイタリアがまずは頭に思い浮かびますが、世界の色々な国でアワードが設けられています。国が変われば評価基準は変わるでしょうから、色々あっておもしろい。ただ、デザインは言語とは異なり、国境はないのかもしれません。デザインの優劣は世界共通なのかも、ですね。
 ドイツにも有名なデザインアワードがあります。“レッドドットデザイン賞”がそれです。分野は、ファッション、家具、工業製品と広範囲に及びますから、みなさんも興味のあるカテゴリーで耳にしたことがあるかもしれませんね。時としてニュースになりますし、メディアで記事になることもしばしば。
 そんな賞の2021年度版に、マセラティMC20が選ばれました。写真のモデルがそれです。トリノにあるチェントロ・スティーレ・マセラティ、英語でいうところのマセラティデザインセンターが描きました。エレガントかつスポーティであるマセラティのブランドコンセプトを具現化したモデルです。

 エアロダイナミクスに基づいたフォルムもそうですが、個性的なのはバタフライドアと呼ばれる前ヒンジの跳ね上げ式ドア。まるで鳥が羽を広げるような佇まいは、エレガントですよね。それに乗員の乗り降りもしっかり考えているというからさすがです。格好だけで使いにくくてはデザインの意味はありませんから。

 賞は、レッドドットデザインの中のプロダクトデザイン部門だそうです。ノミネートされた世界中の工業製品がライバルとなります。ちなみに、webで検索すると日本製品もがんばっていることがわかりました。ヤマハのオートバイやオフィス家具のオカムラあたりが何度か受賞しているようです。ちょっと嬉しいですね。
 それはともかく、マセラティMC20は美しいデザインです。1955年から続く歴史ある賞を獲得したのもわかります。ですが、クルマ好きにとってはそれだけではありません。なんたって630馬力あるエンジンは、0-100km/h加速は2.9秒以下で、最高速度は325km/h以上となるのですから。いやはや、もはや“走るアート”ですね。マセラティさん、さすがでございます。


記事:九島辰也