サステナブルでロマンティックが調和 
ときめく服が今の気分 

環境への配慮を重んじるサステナビリティー(持続可能性)は、ファッションの世界でも「常識」と呼べそうなほど、大事な取り組みとなりつつあります。シンプルなデザインが多くなりがちですが、イタリア発のブランド「Progetto Quid(プロゲット・クイド)」はサステナビリティーとフェミニンが調和したテイストに強みを持っています。ロマンティック気分やポジティブ感を盛り込んだデザインは、ニューノーマルな生活に不足しがちな華やぎや非日常感を注ぎ込んでくれそうです。
「プロゲット」は「プロジェクト」、「クイド」は「何かもっと」といった意味があり、ブランドのポリシーを物語っています。2012年にイタリアでスタートしたこのブランドは、立ち上がりの最初からエシカルでサステナブル。ブームを受けて、エコを取り入れたわけではなく、ファッションにはもっと社会に役立つことができるはずだという信念に基づいている、志の高いブランドです。
だから、素材の調達から製造、販売に至るまで、サステナビリティーが徹底されていて、環境関連の賞も受賞しています。他社で余った余剰生地をアップサイクルして、新たな服として商品化しているのは、象徴的なアプローチです。しかも、メイド・イン・イタリーの丁寧な仕上げと、トレンド感を盛り込んだ、ときめきをまとえるデザインが同居。身にまとうだけで元気がもらえそうなアイテムを提供してくれています。

花柄プリントをまとって、
日常をロマンティックに

シャツやブラウスはベーシックなウエアでありながら、品格やイメージを左右するキーピースです。こちらはイタリア語で「宝石」という意味があるシャツの「GEMME」。正面や裾にフリルをたっぷりあしらって、レトロでロマンティックなムードに仕上げています。
パンツの「SASTA」は色とりどりの花柄で埋め尽くされました。ややオリエンタルな柄があでやかで、「着る花束」といった着映えです。フリルブラウス×花柄パンツのコンビネーションでフェミニン感を際立たせています。
カラフルな花柄が躍り、アートのようなこちらは「WANITA」という名前のシャツです。明るい色の花々がシャツを彩り、気分まで上がりそう。フラワーモチーフに十分な華やぎがあるから、ボトムスはシンプルな単色でOK。花柄の中から1色をボトムスに迎えるのが賢い合わせ方です。

リラックス感とトレンドを両立 
上下揃う「セットアップ」と「ジャンプスーツ」

服にくつろぎ感を求める人が増えてきました。楽な着心地ややさしい肌触りはおしゃれトレンドの軸になりつつあります。シャツの「NOTA」とパンツの「EGAI」をパジャマ風セットアップでコーディネート。手のひらにいろいろな物を乗せた、マルチカラー柄がハッピー気分を連れてきます。のどかなシルエットとウィットフルな柄がファニーな装いに導いています。
伸びやかな着心地とムードが評価されて、このところ復活がめざましいのは、上下がつながったジャンプスーツです。こちらの「SISTER」はウエストのリボン使いがキュート。作業着(ツナギ)風でありながら、フレアパンツでフェミニンなムードも漂わせました。太目のカチューシャで愛らしさも添えています。

コートがフェミニンに昇華
ワンピースのように着こなして

これまでおなじみだったアイテムに大胆なトランスフォーム(変形)を試みる動きが勢いづいています。たとえば、コートもそう。この「PACI」という名前のコートは、まるでワンピースのよう。裾広がりの「A」ラインは60年代っぽい、レトロなシルエット。チェック柄も懐かしげです。従来のコートとは別物の、大人かわいいムードで着こなせます。
コートの代表格とも呼べそうなトレンチコートにも、変化が訪れています。こちらのタイプは、襟が丸みを帯びていて、穏やかなたたずまい。軍服に由来するトレンチ特有の武骨な表情から、ガラリと様変わりを遂げています。シルエット全体もしなやかで柔和。ドレスライクにまといたくなる、フェミニン寄りの新発想トレンチです。

サステナとときめきが両立
ソーシャルグッドをまとう

サステナビリティーが広がって、今では当然の取り組みともなる中、ときめきや意外感をもたらしてくれる服でありつつ、しかもサステナビリティー仕様というところに、「Progetto Quid」の魅力があります。ソーシャルグッドとデザイン性を兼ね備えた装いは、着る人に誇らしい気持ちまでも寄り添わせてくれるでしょう。
ファッションジャーナリスト 宮田理江

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