異素材ミックスの新感覚ジュエリーでおしゃれを格上げお守り効果も期待

ファッションの選択肢が増える中、ジュエリーのデザインも一段と幅が広がっています。着こなしの自由度が高まる流れを受けて、宝石や貴金属を使ったファインジュエリー以外にも、様々な表現が現れてきました。複数の天然素材をミックスする提案は、服で人気を得ているミックスコーディネートのジュエリー版とも言えそう。今回はイタリア・ミラノのブランド「PLV Milan」の新作を紹介しつつ、ミックス系ジュエリーの魅力をご案内します。

分銅モチーフに職人の愛が込められた
「愛の10グラム」とは?

「PLV Milan」は2012年10月、ミラノに住む、いとこ同士の2人が立ち上げたビジュー(ジュエリー)ブランドです。ローラ・ジェシカ・リチーニ(Laura Jessica Licini)氏とヴェロニカ・ピエリ(Veronica Pieri)氏が創業しました。ブランドを一躍、有名にしたのは、14年に発表したネックレス「愛の10グラム」(10 grams of love)です。現在はヴェロニカがメインデザイナーを務めています。
10グラムの分銅(ふんどう、天秤はかりに乗せて、重さをはかるための重り)がモチーフ。円筒状の分銅をペンダントヘッドに使い、チェーンを通してあります。クラシックな分銅モチーフがレトロで懐かしげなムードを漂わせてくれます。分銅特有の丸っこい姿には、どこか愛嬌(あいきょう)も感じられるようです。
分銅はもともと計量道具だけに、飾らない雰囲気があり、自然体ムードが好まれる今のおしゃれの傾向にぴったり。意外感のあるたたずまいは、袖のカフスでも存在感を発揮。ブロンズとシルバーの合金なので、ピカピカと輝きすぎず、落ち着いて映る点も着こなしになじむ理由です。
すべてのアイテムが最終的にはメイド・イン・イタリーなのは、「PLV Milan」の強みです。ラインの名前にふさわしく、職人の愛を込めて仕上げています。

「金属×繊維」の異素材ミックスに、
タイのフリンジが決め手に

分銅モチーフと並んで、「愛のグラム」ラインに特別感を添えているのは、タイのフリンジ(糸を束ねた、細かい房状の飾りパーツ)です。職人の手仕事で仕上げられた、それぞれに色や風合いの異なるフリンジが分銅ピースに添えられ、エレガントなムードを醸し出しています。
フリンジのほうはコレクションが発表されるたびに色やデザインが追加されていて、多彩なバリエーションが楽しめます。たくさんのカラーバリエーションが用意されているので、自分好みの装いにマッチするフリンジを選べます。装いに融け込む同系色を選んでもよし、あえて色味をずらして「差し色」に使うのもよしです。
たくさんの糸を束ねて、端を遊ばせたフリンジは、抹茶をかき混ぜるのに使う竹製の茶筅(ちゃせん)のような形。フリンジもチェーンに通してあり、分銅と並ぶような見え具合で胸元にポジションします。
金属と繊維という、全く質感が異なる2種類のピースを組み合わせたところに、「愛のグラム」ラインの魅力があります。小ぶりの分銅と束ねたフリンジは互いの持ち味を引き立て合うかのよう。オンリーワンのミックステイストが胸元でかないます。

トレンドの多様性ファッションに
「愛の10グラム」が導く

手仕事技が感じられる、房の表情は、装いにナチュラルなテイストを寄り添わせてくれます。天然の植物繊維ならではの素朴なかわいらしさがあり、着こなしのムードメーカーを任せられそう。そこにブロンズとシルバーの風合いを帯びた分銅ピースが加わって、味わいの深いミックスムードに整います。
おしゃれの世界でも多様性が求められるようになっていて、メタリック×フリンジの表現は多様性テイストが感じられる点で現代にふさわしく映ります。イタリア×タイのクロスオーバーも、今のトレンドの「カルチャーミックス」を感じさせます。
ジュエリーはおしゃれのキーピースですが、きらびやかなファインジュエリーはスタイリングが難しいところもあります。シックな装いや、穏やかなコーディネートの場合、ゴージャス感やグラマラス気分を印象づけるファインジュエリーはバランスが整わないことも。支持が広がるミックステイストの着こなしでも、ムードになじむジュエリーを見付けにくいところがありました。
「愛の10グラム」ラインであれば、最初から貴金属とフリンジがセットになっているから、こなれた着映えを印象づけやすくなっています。分銅ピースもブロンズとシルバーの合金なので、ピカピカ感がない分、ヴィンテージ感覚で楽しめそう。さらに、糸の質感が印象的なフリンジが加わり、ファッショントレンドの「異素材ミックス」にも通じる雰囲気を帯びています。だから、シンプルめの服やカジュアル寄りの装いでも、ワンランクアップのおしゃれが楽しめそうです。

愛は重さで測れない
お守りのような気持ちでおしゃれを

らに涼やか。横幅が広くて、出し入れがスムーズ。A4サイズもザクザク投げ込める、収容力たっぷりの使いやすいバッグです。「愛の10グラム」の魅力は、お守りやパワーストーンのような存在と感じられるところにもあります。分銅をモチーフに選んだ背景には、愛を重さでは測れないという、逆説的な意味合いがあるようです。かけがえのない気持ちを、ジュエリーの形で身に着けていられるのは、心の安らぎにもつながりそう。不安が絶えないご時世だけに、よりどころや守護神のような存在を求めたくなる今の気持ちにも、「愛の10グラム」はやさしく寄り添ってくれるはずです。
日本ではまだレアな存在だから、さりげなく身につけているだけで、視線を集める「愛の10グラム」。このほかにも「PLV Milan」のラインアップにはフリンジなしのタイプや、キャンディー風のカラフルジュエリーなど、いろいろなアイテムがそろっているから、周りとはちょっと違うアクセサリーを探している人におすすめ。自然体ムードやお守り効果も手に入るジュエリーはなかなかないだけに、目が離せないブランドと言えるでしょう。
ファッションジャーナリスト 宮田理江

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