丸みを帯びた愛らしいフォルム
飾らない質感が自然体ムード
ひもで口を絞る巾着型のバッグは、しまう品物の形が自由で、オフのお出掛けに重宝します。写真家のティナ・モドッティに捧げられた「TINA(ティナ)」は、ボディがたっぷりしているから、ポンポンと放り込むような使い方に応えてくれそう。ざっくりした穀物袋風の風合いも、気負わない自然体の装いになじみます。
イタリア生まれのモドッティはメキシコに渡り、女性アーティストのフリーダ・カーロや、その夫のディエゴ・リベラらと交流。メキシコから多くの写真を発表しました。キューバの革命家と出会ったこともあって、徐々に政治的な姿勢を強めていき、作品や行動もメッセージ性を帯びるように。波乱に満ちた生涯を送った女性表現者でした。
エレガンスとあでやかさの調和
手仕事技のタイムレスな魅力
鮮やかな配色の花柄が刺繍されたクラッチバッグの「CHARLOTTE(シャルロット)」は、装いにあでやかやさリュクス感をまとわせてくれます。シックでシンプルな装いにも、素敵なアクセントをプラス。パーティーやお呼ばれシーン以外に、普段着の格上げにも役立ちそうです。
このバッグが捧げられたのは、モナコ公国の現在の国家元首、アルベール2世の祖母にあたるシャルロット夫人。ちなみにアルベール2世の母はハリウッド女優から大公妃に迎えられたグレース・ケリーです。シャルロット夫人は息子のレーニエ3世が王位に就けるよう、世継ぎの地位を放棄。引退後は居城内に元受刑者のリハビリテーションセンターを構え、社会復帰を手助けしたそうです。
ファッションの世界では、クラシックで懐かしげなデザインに光が集まっています。「GEORGINA(ジョルジーナ)」バッグのノスタルジックながま口金具はレトロ感がたっぷり。手の込んだ刺繍柄も、穏やかでクラッシィなムードを醸し出しています。
19世紀フランスを代表する女性作家のジョルジュ・サンドをイメージしたバッグです。サンドは作曲家フレデリック・ショパンとの熱愛でも有名。女性の権利を求める初期のフェミニストでもあり、女人禁制の場所へ男装で訪れたエピソードでも知られています。
歴史を彩ってきた、先駆者的な女性たちにリスペクトを捧げたバッグシリーズは、装いに添えるだけで、静かな自信や、誇らしい気持ちまで迎え入れてくれそう。ストーリーやポリシーがしっかりしているアイテムには、自然と愛着もわきやすくなります。2021-22年秋冬シーズンにはクラシック感や手仕事技が再評価されるから、その意味でも職人技を磨き続ける「ル ビオンディーヌ」のバッグには心を動かされます。