着物の和テイストをモードにまとう 
天気を問わない「いつでもウエア」

天気が不安定な日は、コーディネートに悩みがちです。傘を持ち歩くのは面倒なうえ、レインウエアは地味めのデザインが多く、おしゃれ感の面で物足りなく感じることも。近年は気温や天気の変動が年々高まる傾向があり、急な雨にも対応できるようなおしゃれなウエアが続々と提案されています。どんな場所でも着て行ける服は重宝な存在。アスレティックやアウトドアをミックスするスタイルも人気です。こうした流れを受けて、レインウエアも進化。モードなレインウエアが登場しています。
イタリア発のブランド「KIMONORAIN(キモノレイン)」は防水機能がしっかりしているのに、ファッション性が高く、むしろ雨が恋しくなるほど。しかも、天気や場面、季節に関係なく、自在に着こなせるユニセックスの重宝ウエアです。
ブランド名に「KIMONO」とある通り、日本の着物から着想を得ています。着物をはじめ、オリエンタルテイストは近ごろの世界的なトレンド。西洋の服は立体的に設計されてきましたが、着物は真っ平らに折りたためる平面構造。この特殊な仕組みは昔から海外デザイナーの興味を引いてきました。生地に無駄な「はぎれ」が出にくく、サステナビリティーにつながるところも着物が支持されている理由の一つです。
KIMONORAIN」のデザイナーはElisa Soldini(エリサ・ソルディーニ)氏とLucia Padrini(ルチア・パドリーニ)氏の2人です。古都フィレンツェがあることでも有名な、イタリア中部のトスカーナ州のブランド。頼もしい防水仕様に加え、ユニセックスとリバーシブルが持ち味です。バックパックでおなじみの両肩掛けストラップを使って、着ないときは背中に掛けておけるという、ダイナミックな造りでも知られています。

ロングシャツとキルティングの2役 
マルチにトランスフォーム

KIMONO MAXI SHIRT(キモノ マキシ シャツ)」はミリタリー風のロング丈シャツワンピースで、お得意のリバーシブル仕立てになっています。裏表をひっくり返せば、キルティング仕様に様変わり。さらに、両肩掛けストラップを使って、肩に背負う形にも大胆にトランスフォームできる造りです。
ウエストにひもベルトを巻いて、着物風にノンシャランとまとうアレンジも選べます。ロングシャツとキルティングアウターの2役を兼ねるから、温度やシーンに合わせて自在に使い分けが可能で、シーズンを超えて重宝します。もちろん、防水加工もしっかり。ロング丈ならではの縦長シルエットが伸びやかな着映えに導いてくれます。

エフォートレスなカシュクールで優美な着こなし 

色も2WAY

先ほどのロングシャツと同じ基本構造を持ったカシュクールタイプも用意されました。和服と同じ打ち合わせ方だから、着物テイストがいっそうくっきり。表側は上品なキャメルカラーで、裏表をひっくり返すと、モードなブラックにスイッチ。両肩に掛けてリュックのように背負えるほか、片方の肩に掛けてショルダーバッグ風にも持ち運べます。
締め付けのないカシュクールはサイズが気になりにくいところや、気負わない「エフォートレス」気分をまとえる点も魅力です。さらりとローブのように羽織っても様になるから、着こなしパターンが多彩。防水加工もしっかりされています。クラシックな着物を現代版にアップデートした新発想のウエアと呼べるでしょう。

しなやかなボマージャケット 
ふんわりシルエットが朗らかな表情

様々なシルエットで着回せるシリーズのこちらはボマージャケット型の「KIMONO BOMBER(キモノ ボマー)」。表側のあでやかな赤は着物を連想させます。防水加工が頼もしいウエアでは珍しい、リバーシブルの仕掛けが施され、裏表をひっくり返すと、シックなブラックが登場。あちこちから「裏地」の赤がのぞいて、差し色効果を発揮してくれます。
ボマージャケットならではのふんわりしたシルエットや、張り出したポケットが愛らしいムード。ドローストリングを絞ったりゆるめたりして、フォルムを変化させられます。さらに、背中に掛け垂らしたり、フードをかぶったりと、バリエーションはいろいろ。天気や装いに合わせて、自在にアレンジが楽しめる、頼もしいツールです。

ニューノーマルな生活に欠かせない、

「いつでもウエア」

KIMONORAIN」はユニセックスの位置づけなので、着こなしの自由度が高くなっています。手持ちのウエアとの組み合わせで、様々なレイヤードを組み立てられます。雨天オンリーではなく、天気に関係なく着られるのも強み。オールウェザー、オールシーズン、オールロケーション(場所)のアイテムは旅行やスポーツ、レジャーに便利。室内で換気が欠かせない今、温度調節に役立つ点も見逃せません。1着で何パターンも着回しが可能で、アクティブ気分もまとえる「いつでもウエア」は今の時代にベストマッチの装いと言えるでしょう。
ファッションジャーナリスト 宮田理江

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