Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

クルマ通信12フィアットパンダ

フィアットパンダ

 クルマの変化と景気の動向は切っても切れない関係にあります。経済が悪化すればクルマは小さくなり燃費性能は向上します。少ない燃料で長い距離走れる性能を必要としますから。事実ミニが生まれたのもそうで、1956年のスエズ動乱を鑑みて研究開発、1959年にリリースされました。オイルショックもそう。1973年の第一次オイルショックでアメリカのマッスルカーブームは終焉を迎え、クルマはどんどんダウンサイジングされました。
 ここで紹介するフィアットパンダもそうです。1979年の第二次オイルショックをきっかけに誕生しました。1980年の初代モデルは1000ccに満たない排気量です。
 このクルマは当時日本でも人気を集めました。ジウジアーロがデザインしたコンパクトで四角いスタイリングは可愛らしく、パンダという名前もいいイメージをもたらしました。まさにペットを飼うような感覚でガレージに入れたくなります。今もたまにマニアックな方が走らせていますが、目を引くのは確かです。
 あれから40年。3世代目となったパンダには、パンダクロス4×4なるモデルがあります。パンダの背を高くし、そのままSUVのように仕上げたものです。世の中SUVブームですが、こんなちっちゃなクルマの派生モデルまでつくっちゃうんですから驚きです。

 でもこれがかなりいい。乗り心地は良く、ハンドリングも軽快で楽しく走れちゃうんです。装飾品で見た目ワイルドになったフロント周りもグッド。かわいくもあり、ワイルドでもある。個人的にはスタンダードタイプのパンダより魅力を感じます。都内で走る用のコンパクトなクルマをお探しならオススメですね。インテリアもオシャレですよ。
 それにしてもパンダという名前がいいじゃありませんか。当時イタリアの会社がなぜ中国を意識した名前にしたのかはわかりませんが、センスはいいと思います。イメージ的にはピッタリでしょう。特に日本人の我々には親しみやすい。でも一つだけ疑問が。いつになったら白と黒でカラーリングされたモデルが登場するんでしょうか。一度でいいのでパンダカラーのパンダを見てみたいです。


記事:九島辰也