Storie di passione italianaイタリアに恋しちゃう物語

クルマ通信11SUV

SUV

 ラグジュアリーSUVのスタートは1997年でした。アメリカのマーケットでこの年リンカーンとメルセデス・ベンツが、それぞれナビゲーターとMクラスをローンチしたのが始まりです。するとこれが大当たり、キャデラックがエスカレードをBMWがX5で追いかけます。
 さらにヒートアップしたのは2002年。ポルシェ・カイエン、フォルクスワーゲン・トゥアレグ、ボルボXC90といったモデルが次々と登場。ポルシェなんかそうですが、背の高いクルマに縁のないブランドが競って名乗りを挙げたんですからすごいことです。
 そういった流れを鑑みると、今日ランボルギーニ・ウルス、マセラティ・レヴァンテなんてのがラインナップするのも不思議ではありません。世界の潮流は確実にSUV一辺倒ですから。でも、レヴァンテが2016年、ウルスが2017年と少々出遅れ感はありますね。きっと彼らも相当手こずったに違いありません。重心は高いし、ヨンクだし、ドアは4つでリアゲートまであります。

 とはいえ、この2台の反響は大きく、販売面で大成功をおさめました。「スーパーカーのSUVなんてどうなの?」という危惧は無縁です。もちろん、それに対してアレルギー反応を持つ保守王道もいらっしゃるでしょう。ブランドのあるべき姿を考えると利益追求に走ったSUV製作は邪道ではないかと。
 ただ、ずいぶん前に雑誌の記事でポルシェAGのトップがこんなことを言っていました。「カイエンの成功がなければ、パナメーラをつくれなかったし、今日のような飛躍はなかった」と。自動車は趣味嗜好が強いですが企業ですからね。当然といえば当然。
 ということで、ランボルギーニとマセラティの未来は明るいかと。SUVのラインナップが増えたりして。いずれにせよ、期待は膨らみます……。


記事:九島辰也