ABARTH 595
イタリア共和国が王国として誕生して150余年。ローマ帝国に象徴されるようにその足跡は長く深く残っています。都市国家としての成り立ちはローマ帝国時代以前ですからね。それに人類の発展と文化に強く影響を及ぼした人は数多く、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ガリレオ、マルコ・ポーロ云々と、誰もが知る偉人ばかり。いやはやこの人たちがいなかったらどうなっていたのか……。
というくらいイタリアの文化度は高く、進んでいます。自動車業界もまさにそうで、自動車創世記からレースをはじめクルマを文化的に捉えてきました。例えばこのアバルトというブランドがそうです。トリノの小さな工場で始まった会社が今日のようなイタリアを代表するブランドのひとつに育ったのですからカーカルチャーの深さを感じます。クルマを速く走らせること、それを趣味とする人がたくさん存在するということですかね。
アバルトの設立は1949年。レースでも使えるスポーツカーのパーツを作り始めました。その後フィアット500をベースとしたコンプリートカーを製作、50年代が終わる頃には“チューンナップ”というカテゴリーを確立させます。それからオリジナルのスポーツカーやレーシングカーを創出したのですが、その美しさも評判となりました。結果、会社規模は当初の20倍以上になります。フィアットグループの一員になったのは1971年。70年代後半は世界ラリー選手権でチャンピオンに輝きました。
さて、そんなアバルトの現在はというと、ご承知のようにグループ内でも独立したブランドとして確立しています。すべてのモデルに “チューンナップ”を世に知らしめた彼らの“味”が注がれます。フロントにはそれを象徴するサソリマークがキラリ輝きます。
そんなモデルの一つアバルト 595はフィアット500をベースに1900箇所にも改良を施したベーシックモデル。それを50年代の呼び名595と名付けました。エンジンは1.4リッター直4ターボで145ps。アバルト初体験者にベストチョイスかな。で、写真のイエローに塗られたドアミラーのモデルは595C ピスタ。ピスタはイタリア語のサーキットの意味。上級者のあなたにオススメの一台です
記事:九島辰也